FX寺子屋 by 葛勝老師

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日銀介入にも係わらず、ユーロは課題山積で一進一退の展開となるか?

2011-11-02 06:00:00 | 日記
今週は初日から、本邦通貨当局のドル買い(円売り)介入に喚起された全般的なドル買いの影響を受けたとみられますが、ユーロ・ドルについて検証して見れば、売り方の規模が大きくなっており、日本政府の介入の余波だけでは説明できないユーロ・ドルの下落が生じています。

ユーロ・ドルの下落要因について検証してみると :
(1)イタリア国債利回りの上昇
(2)米MFGの欧州債絡みの損失による破たん
(3)ギリシャのパパンドレウ首相がEUからの追加金融支援受け入れの是非に関して、国民投票の実施を提案

先日、ユーロ圏首脳会談で欧州債務問題に関する ”包括戦略” がまとまったばかりですが、もともと先の合意に関して :
(1)民間金融機関がギリシャ債の50%元本カットに自主的に応じるかどうかの不透明感
(2)欧州銀への資本増強策1000億ユーロで自己資本比率9%が達成可能どうかの不透明感
(3)足りなかった場合に欧州銀行による、貸し剥がしなどが起きるリスク
(4)貸し剥がし予防のために公的資本注入をすると各国の財政化赤字が膨らむリスク
(5)各国が緊縮財政を実施すると欧州景気に下押し圧力がかかるリスク

欧州債務問題について、ようやく正しい方向に政策が動き始めたものの、その成否は未知数との見方が一般的でした。 ”包括戦略” の合意に喚起された一時的な楽観ムードが剥落するにつれてユーロ・ドルが戻り売り優勢になるのは自然なのかもしれません。

パパンドレウ首相が示した、 ”EUからの第二次金融支援受け入れには国民投票による承認が必要” との見解は、本気ならば今後かなり問題含みの材料に発展する可能性があります。 折角EU諸国がまとめてくれた支援策を国民投票でギリシャが受け入れないことが決まった場合、これまでの努力が水泡に帰してしまうリスクがあります。 もしもそんなことになったら、土壇場にきてギリシャ債務問題は再び ”無秩序なギリシャの借金踏み倒し” や ”ギリシャのユーロからの離脱” などの短期的には最悪のシナリオの脅威にさらされることになります。 同首相は今後EUが第2次ギリシャ支援で最終的な合意を成立させてから、数週間以内に国民投票を実施することを提案したと伝えられています。

ギリシャ債務問題の軟着陸に向けては、まだまだ課題は山積であることが再認識させられており、今後はギリシャ国民投票実施観測の当否、もしも実施されることになった場合は、その票読みなどが注目されることになりそうです。 ユーロ諸国のお膳立てにより、ここ数日間は楽観ムードが起き始めてきたのですが、土俵際の駆け引きは未だ続きそうな様相を呈しています。

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