吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

枕男

2012-02-25 19:16:10 | インポート
友人の、そのまた友人の女性の話です。
仮に、その女性をQさんとしておきましょう。

私も一度だけお目に掛かったことがあるのですが
Qさんは、綺麗ではきはきした女性です。
友人の話では、几帳面で、経済管理もしっかりしていて
男性にも、「そこそこ」モテるタイプだそうです。
しかし、何故か男運が悪い。
「1番好きなのは君だけど、彼女(奥さん)とは別れられない」
という、「あるある!」の男性とばかり付き合っていて
いつも「2番手」なのだそうです。
彼女(奥さん)がいなくて、Qさんと付き合いたいという男性が現れても
「タイプじゃない」「なにか違う」
そう言って、付き合うまでには至らないのだそうです。
Qさんが、ものすごくメンクイだとか、理想が高いという訳ではなく
Qさんが付き合う男性は(…すみません、聞いた通りにお伝えします)
デブだったり、ハゲだったり、お金にだらしない人ばかりで
むしろ、周りの方が「なにか違う」と思うような男性たちなのだそうです。
しかし、女性の方々の多くはお気付きかと思いますが
デブ、ハゲ、お金にだらしない男性の多くは、大抵マメで口が上手い。
どうも、そこにころっと引っ掛かってしまうらしいのです。
所謂、典型的な「だめんずウォーカー」ですね。

現在、Qさんが付き合っている男性も、4度の離婚経験のあるデブ。
しかも、クレジット会社のブラックリストにのっていて
更に、怪しげなところからお金を借りて、いつも借金にまみれ
それなのに、いつも飲みに出掛けたりしているので
不審に思ったQさんが厳しく追求すると、なんと元妻からの借金。
怒り狂ったQさんが責め立てると、今度は逆ギレして
取っ組み合いの大喧嘩になったこともあるそうです。

Qさん的に1番許せなかったのは、財布のお金を抜かれたことよりも
「もう完全に切れて、会っていない」筈の元妻に会っていたことで
「まして、お金を借りるなんて!」なのだそうです。
ええ!?そこ?と、言ってしまいそうですが
混乱していたのでしょうか、よく分かりません。

その男性の4度の離婚の原因は、いずれもお金が原因だそうで
それを素直にQさんに話すのもどうかしていると思いますが
それを聞いても、全く別れる気にならないQさんもすごい。

その男性は、別れた妻たち(複数ですからね)に、ちょいちょい会っては
なにをどう言いくるめているのか、少しずつお金を借りて
そのお金で飲み歩いているので、遊ぶお金には困らないらしい。
でも、借金にまみれていたはずでは?
と、思ったら、それは自分の給料で返済しているそうです。
では、Qさんとのデート代はどうなっているのかというと
ご推察の通り、全てQさんもち。
しかも、「彼の考え」で、少しでもデート代を安くあげようと
2人は、家でパンを食べてから、居酒屋に出掛けるのだそうです。

  行くなぁぁぁぁーーーー!

そんな好き放題の彼は、Qさんに対しても好き放題(当然ですけど)
自分は平気で元妻に会って、お金まで借りているのに
Qさんが、彼の友達の男性と話すことも許さないのだそうです。
ですが、自分の彼の友達に話し掛けられて、無愛想にするわけにもいかず
取り敢えず、なんとなーく適当に相手をしていたら
彼氏がブチ切れて、Qさんを外に連れ出して
「他の男と親しげにするなぁー!」
と、叩いたり、髪を引っ張ったりの大騒ぎをしたこともあったそうです。
ええ年した男が、女の髪の毛を引っ張って怒るって…なに?
当然、彼は、Qさんの帰宅時間や携帯電話のチェックなんかもするわけで。
ちょっとしたことでも、細々と聞いてくるのだそうです。

「そんな人の何処が良いわけ?」
私の問いに、友人はこう答えました。
「愛されてるって感じがするんだって」

  げろげろげろ。

ところが、ある日、彼は急に思い立ったそうです。
元妻(の1人)と、やり直そうと。
そして、彼は紙袋に枕を詰め込むと、地下鉄に乗りました。
なぜ枕…。
それは、意外と繊細で、枕が変わると眠れなくなるから。
なぜ地下鉄…。
それは、多額の借金のせいで、車を手放したから。

彼は、元妻の家の玄関の前に立ち、ドアチャイムを鳴らしました。
玄関に現れた元妻に、彼は枕の入った紙袋を見せ、こう言ったそうです。
「もう一度、やり直そう」
「ムリです」
元妻さんは、ドアを閉めました。
そして、彼は枕の入った紙袋を手に、再び地下鉄に乗り
Qさんの待つ、自分の家に戻ったそうです。

「ええー!?
 Qさんと別れないうちに、元妻とやり直そうとしたの?」
私は、爆笑しながら、当たり前過ぎる反応をしました。
「うん、だって、『Qのことを1番愛してる』からね」
友人も、爆笑しながら答えました。

さて、友人が、どこからこの話を仕込んだかというと
それは、勿論Qさんからなわけですが
では、Qさんが、どこからその情報を仕入れたかと言うと
なんと…、元妻!
実はQさんも、彼に負けず劣らずの、ものすごく嫉妬深い性格で
こっそり彼の携帯電話をチェックして、元妻全員の連絡先をゲットし
更に、元妻たちに連絡を取り、彼の行動をチェックしていたそうです。
そのうち、元妻「枕の君」と親しくなり
「枕の君」本人から、枕男事件を聞いたのだそうです。

「で?流石に別れる気になったの?」
こんな質問しか出来ない私は、つまらない人間なのでしょうか。
「ううん、嫌いになれないんだって
 別れて1人になるのが怖いんだって」

別れないままでいる「これから」の方が、ずっと怖いような気がするけど
Qさんが決めることだからなぁ…。
あ、因みにこの友人の別の知り合いに
「子供が成人したら、妻と別れて君と一緒になる」
そう言われて、既婚者の男性(の、離婚)を待ち続け
20代前半から40代後半までの、20数年を棒に振った女性もいます。

  嗚呼、勿体無い…。