天真寺日記

天真寺の日々を綴ります

「霊性」につながり求め

2007-01-13 12:10:05 | 宗教
「恋愛パワースポット」の神社、縁結びで有名な神社というところに若い女性方が押しかけているという。
ネットで知ったり、雑誌で紹介されたりということから、人気が出るらしい。

ある神社では、若い女性が目立つようになったのはこの4~5年。
20~30代の女性が7割近くを占め、土日は300~400人に上るという。
神社でも、クリスマスイブは一層にぎわったようだ。

そこを訪れた28歳の女性会社員の話。
いい出会いを願って手を合わせ、恋みくじを3回引いた。
どれも違う内容で、逆にほっとしたという。
「だって、どれもアリってことでしょ」
占い好きで、有名な占い師を訪ねたこともある。
「スピリチュアル・ブーム」の象徴である江原啓之さんが大好き。
「霊」や「前世」にも興味があるが、宗教は嫌い。
「いろいろ束縛されそうなのがイヤ。都合のいいときだけ、自分のことを知るのがいい」からだという。

弓山達也・大正大学教授(宗教社会学)は、
目に見えない何かとの「つながり」を求めたい。こうした感情がバブル崩壊の90年代前半から強まり、オウム真理教事件で沈静化した、とみている。
それが00年ごろから「宗教アレルギー」を伴いながら再び頭をもたげ、「スピリチュアリティー(霊性、精神性)」に衣替えして今のブームに至った、と話す。


                                         



1月8日付朝日新聞に占いやヒーリングにはまる女性達が特集されていた。
占いやヒーリングが大流行で、「自分に向き合える」のが魅力らしい。
この記事を読んで、そっか宗教は嫌いか・・・と考えさせられた。

占いはちょっとゲームみたいで楽しいし、いいことを言われるとうれしい気がする。
けれど、自分の人生を振り回されたり、それに依存したりするものではない。
気持ちはよく分かるけれど、
とにかく自分を肯定してもらいたい、という切実な思いがうかがえる。
「今の私がこーなのは、前世があーだったからだ」
をういってしまうと、前世をひっくり返すことはできないから、今私があーなのも、こーなのも当たり前で仕方がないこと、となる。
こうやって自分を認めようするのは、自分を必死に守っていかなければ生きにくいほど安心するところを持たない時代なのかもしれない。

必死で守ろうとしている自分に本当に目を向けたとき、そこに見えてくるすがたを考えてみる。
誉められば喜び
けなされれば怒る
人をねたみうらやみ・・・
親鸞聖人は、
「凡夫といふは、無明煩悩われらが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、はらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるまでとどまらず、きえず、たえず」
と私たちの本当のすがた教えて下さる。
仏法に遇って本当のすがたを知っていかれたのである。
それは、つながりのなかにあって私が生かされているという感謝を知ってこそ見えてくるすがた。
宗教は嫌い・・・と言われると携わる身としてショックだが、型にはまらずとも、
「みんなつながってみんな支え合って生かされているんだよ、一人じゃないよ。」
という仏さまのメッセージだけでも知ってほしいと願う。
私はそれだけで、安心して生きていける。
いつでもどこでも共にいて下さる存在があることが、私のこころの拠りどころとなっている。

かなしきかなや道俗の
良時・吉日えらばしめ
天神・地祇をあがめつつ
卜占祭祀つとめとす

自分の本当のすがたが見えず、占いや日の良し悪しなどに右往左往して苦しみを重ねている私たちを悲しまれて親鸞聖人がよまれた和讃。
その意味の深さに、私たちの心の闇の深さが思われる。

(静)




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