昨年に引き続き、今年も秋分の日の直前まで猛烈に暑い日が続きました。運動会の練習は暑さのために屋内で実施したり時間を短縮したりするなど、大きな影響を受けています。福岡県太宰府市では猛暑日が一か月以上続いて国内最長記録を更新し、関東ではスコールのような雨が連日降るなど、過去に経験したことがないような天候が続きました。さらに今年は、8月29日に九州に上陸しほぼ停滞していた台風10号の影響で、8月30日から3日間、東海道新幹線が計画運休を行い、多くの人々の足が奪われました。台風の影響でこれほど長く運休が続いたのは初めてのことでした。
8月8日には宮崎県で震度6弱の地震が起き「南海トラフ地震臨時情報」が出され、巨大地震の発生確率が平時より数倍高まったということで、地震への備えを今一度確認するようにと呼びかけられました。その情報によって、すぐにも地震が来るのではと心配になって、旅行を取りやめた人も多かったようです。またその呼びかけの影響で米の備蓄を急いだことが、その後の「令和の米不足」の一因となったのではとも言われています。
この他にも宮崎の地震翌日の8月9日には、神奈川県西部で起きた地震のため東京でも緊急地震速報のアラームが鳴り、驚かれた方も多かったのではないでしょうか。8月16日には関東に台風7号が近づいて大雨洪水警報が出され、天使幼稚園も預かり保育をお休みすることになりました。
こうして今年の夏を振り返ると、例年には見られない異常気象や天変地異に左右された日々が続いてきたことが分かります。
「備えよ常に(Be prepared)」という言葉があります。これは、ボーイスカウト・ガールスカウトのモットーで「いつなんどき、いかなる場所で、いかなることが起こった場合でも善処ができるように、常々準備を怠ることなかれ」という心構えを表しています。
2011年の東日本大震災後、建物の耐震工事をしたり、屋内の家具等の固定をしたり、食料品の備蓄をしたりと、地震に対する対策の充実が図られてきました。それから13年が経ち、地震への警戒心が薄れてきたときにやってきた宮崎の地震や今年初めの能登半島地震。改めて気を引き締め直すきっかけになりました。
「備えよ常に」というモットーは、地震に限らず、日々の様々な出来事への対応を図ることをわたしたちに教えてくれています。
「ハインリッヒの法則」というのがあります。1件の重大事故には29件の軽微な事故と300件のヒヤリハットが隠されているというもので「ヒヤリハットの法則」とも呼ばれます。日々の生活の中、事故にはならなかったけれど、ヒヤリとしたりハッとしたりすることが数多く起こるもの。その時に安全対策を講じることによって事故を未然に防いだり、何かあった時に迅速に対応できるように準備をしたりしておくことも大切な心掛けです。
みなさんの生活の中でこれはちょっと危ないなと感じたことや、おっと危ないと思ったことはありませんか。そのようなヒヤリハットをなおざりにするのではなく、危機が迫っているかもしれないと気を引き締め、それに備えていく事。異常気象や地震などの自然災害への対応と共に、日ごろのヒヤリハットを自らの行動の見直しにつなげ「いつなんどき、いかなる場所で、いかなることが起こった場合でも善処ができるように」準備をしておくことが、安心・安全な生活につながっていくのではないでしょうか。
(園長 鬼木 昌之)