天使幼稚園

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<園長だより「風」7月号>花もいろいろ ~関心を持って調べる力~

2024年06月24日 08時00分00秒 | 園長だより
 今年も梅雨の季節がやってきました。梅雨といえばアジサイ(紫陽花)。あちらこちらで、紫やピンク色の花が咲き誇っています。こんもりと咲いたアジサイの花。でも、花のように見える部分は、実は花ではなく、「装飾花」といって「額」が変化したものです。その装飾花をかき分けてみると、ひっそりと咲いている「真花」を見つけることができます。そこには小さなおしべやめしべ花びらがついています。このアジサイの名前は、「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」から来たとする説が有力とのこと。「紫陽花」の文字は、中国で紫色の花を咲かせる花を「紫陽花」と呼んでいたことから、日本に咲く紫色のこの花を「紫陽花」と名付けたとされています。

 この時期にはアジサイだけではなく、ユリ(百合)やカンナの花もあちらこちらで見ることができます。

 ユリは6枚の花びらがあるように見えますが、外側の3枚はがく片で「外花被(がいかひ)」と呼び、内側の3枚が「内花被(ないかひ)」と呼ぶ花びらです。ユリという名前は、茎が長く風が吹くとゆらゆらと揺れる様子から名づけられ、「百合」という漢字は球根の鱗片がたくさん重なっているところからきているとのこと。

 カンナの花を観察すると不思議な形をしています。花びらのように見えるのは、雄しべが変形したもので、その中の一番内側の1本だけが花粉をつけるそうです。カンナという名前は茎が筒状になっていることから、古代ケルト語の杖を意味する「Cana」から、あるいは同じように筒状の茎を持つ葦を意味するラテン語の「Canna」からきているという説などがあるそうです。

 「花の絵を描いて」と言われたとき、みなさんだったらどんな花を描くでしょうか。一般的にはキクの花のように中心におしべとめしべがあり、たくさんの花びらがその周りを囲んでいる花や、チューリップのような地面から茎を出しその脇から葉が伸び、一番上に花が咲いているものを描くことが多いのではないでしょうか。でもひとことで花といっても、このように多くの形状の花があふれています。ただ、この2つの花以外の絵を描くのは難しそうですね……。

 昨年、NHKの連続テレビ小説「らんまん」で取り上げられた牧野富太郎博士は、1928(昭和3)年、雑誌の取材で、記者が「雑草」という言葉を口にした時、「きみ、世の中に〝雑草〟という草は無い。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている。わたしは雑木林(ぞうきばやし)という言葉がキライだ。松、杉、楢(なら)、楓(かえで)、櫟(くぬぎ)——みんなそれぞれ固有名詞が付いている。」と話されたそうです。また、1965(昭和40)年頃、生物分類学をテーマとして研究していた昭和天皇は、庭の手入れをした職員が「雑草が茂ってまいりましたので、お刈りいたしました。」と報告をした時、「雑草ということはない。どんな植物でも、みな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる」と注意なさったというエピソードも残っています。

 日々何気なく眺めている草花ですが、このように様々な形状を持ち、さらに一つひとつ名前を持っているのです。何も知らずに興味や関心を持たずに過ごすのではなく、身近な草花を注意深く観察し、「何だろう?」「なぜ?」「どうして?」という疑問を持ち、その問題を解決しようとする姿勢。それが、これから育ちゆく子どもたちにとって欠かせない、学びの原動力となるものです。

 登降園時、あるいは日々の生活の中で、草花や樹木を細やかに眺め、その特徴を他の草花と比べてみたり、名前を調べたりできると良いですね。さらに草木だけではなく、生き物や町の様子などに関心を広げていくことを通して、「自ら伸びる力」を育んでいくことができればと願っています。
                (園長 鬼木 昌之)

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