天使幼稚園

カトリックの精神に基づいて未来を生きる子どもたちを育てます

<園長だより「風」夏休み号>自然の力と人類の知恵

2023年07月19日 08時00分00秒 | 園長だより

 先週は、九州から東北地方にかけて大雨が降り各地で被害が発生しました。この雨をもたらした梅雨前線が、関東の辺りでは北の方まで上がっていたので、南から暖かい風が入り込み、東京は猛烈に暑い日が続きました。水曜日は朝から雲一つない青空が広がり、強い日差しを受けて気温がぐんぐん上がり、てんしの家のテラスの温度計は、日陰にも関わらず41.5℃を示していました。


 この日は、夜の8時過ぎに国際宇宙ステーション(きぼう)が東京の真上近くを飛ぶことになっていました。昼間こんなに天気が良いから、国際宇宙ステーションが良く見えるだろうと思い、天使幼稚園のブログに「みなさんもみてくださいね」という記事を掲載しました。ところが、ところが……。夕方から雲が広がり始め、夜の8時頃にはポツンと雨粒が落ちてきて、国際宇宙ステーションを見ることはできませんでした。


 大雨や猛烈な暑さだけでなく、頭の上の雲ひとつコントロールすることができないほど、自然の力は大きなものです。


 関東平野を流れる利根川。昔、江戸湾(今の東京湾)に流れていたこの川は、「坂東太郎」と呼ばれ、九州の「筑紫次郎(筑後川)」、四国の「四国三郎(吉野川)」と共に「三大暴れ川」として知られ、流域に多くの被害をもたらしていました。江戸に居を構えた徳川家康は、江戸の町を洪水から守るために、利根川の流れを銚子に向けて変える一大プロジェクトを実施しました。あの大きな川の流れを変えてしまうとは、人の知恵や力も、なかなかのものです。


 名古屋がある濃尾平野には、木曽川・長良川・揖斐川という3本もの大きな河川が流れ込み、流域は何度も洪水の被害にあってきました。この地に暮らす人々は、その被害を防ぐために、住んでいる家だけではなく田畑を含めた土地をぐるっと囲う堤防を作りました。これが輪中と呼ばれるものです。そのおかげで洪水は減ったものの、今度は川の上流から運ばれ、洪水のたびに流域に広がっていた土や砂が川底に溜まり、川底が高くなったために、輪中の水を川に排水することができなくなったそうです。自然の力はなかなかあなどれないものです。そこで、今度は輪中の中の水路を掘り下げ、その土を高く盛ってそこを田に変えたと、先日の「ブラタモリ」で紹介していました。


 太古から人類は自然の猛威にさらされ、それを知恵と力で克服してきました。洪水があれば堤防を築き、水量を調整するためにダムを作ってきました。また、今回の猛暑もクーラーのおかげで、涼しく過ごすこともできています。


 こうして人類は自然に立ち向かい克服してきたけれど、自然も負けてはいません。人々が豊かな暮らしをするためにエネルギーを消費することに伴って発生した二酸化炭素は、今度は地球温暖化という現象を引き起こしました。ここ数年の異常気象も温暖化が影響しているといわれています。人類が自然を破壊すると、今度は自然が人類に新たな害をもたらしています。


「知る“特権”を持つ者は、行動を取る義務があります」(アルベルト・アインシュタイン)


 知恵を積み重ねて住みよい世界を創り出してきた人類は、地球全体を守る義務を負っています。それは一人ひとりの知恵や工夫の積み重ねであったり、多くの人のひらめきと挑戦による新たな発明であったりします。


 「私はただ、まだ使える物が無駄になっているのを見ると怒りを覚えます」(聖マザー・テレサ)


先ずは、わたしたち一人ひとりが出来ることを自覚し実行すること。そして、子どもたちもこの問題を自分のこととして自覚できるように育て、その未来の知恵と力に託していきたいものです。
               (園長 鬼木 昌之)

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