闇に響くノクターン

いっしょにノクターンを聴いてみませんか。どこまで続くかわからない暗闇のなかで…。

満員電車のようなにぎわい

2010-10-30 08:58:26 | 東欧滞在記
ホテルでしばし休養したのち、いよいよ展覧会のオープニング。美術館に行くと、次々に人がやってくる。いい出足だ。すぐにはじまりかと思いきや、エントランスで開催のセレモニー。
美術館、主催者代表、友人が挨拶して、最後に私にも挨拶の順番が回ってきた。私は、まず作品そのものをじっくり見て頂きたいこと、それと同時に、今回の展覧会のテーマの大きな柱の一つは、日本における表現の自由の問題でもあるので、それをくみ取って頂ければありがたいといったことを話した。
その後ただちに会場の扉があけられると、人々がどっと会場に押し寄せる。信じられないことに、満員電車のようなにぎわいだ。それらの見知らぬ人たちに混じって、昨日会ったフランス人グループのメンバー、皮肉屋のポールさんらの姿も見える。彼らと和気藹々と話していると、見知らぬ人たちが手に手に展覧会のパンフレットをもって押しかけ、友人だけでなく私までサインを求められてしまった。見知らぬ人に話しかけられたりサインを求められたりするのはほんとうにうれしいし、この瞬間に展覧会の成功がかかっていると思うので、一生懸命サインをする。そのうち、ポールさんが人並みをかきわけてやってきて、「あなたの友人の作品はほんとうにすばらしい。心から敬意を表する」と胸に手を当てながら言ってくれた。
そうこうしているうちに、第二会場であるB市のギャラリーでのオープニングの時間が近づき、そちらへ移動。主催者はスタッフもみんな乗れるようにとミニ・バスを用意してくれていたのだが、感激さめやらぬ人々が、自分たちも第二会場へ行きたいと大勢同行。はずむ思いで第二会場へ。

第二会場では、篠○紀信さんの写真が1枚足りないのがとても残念だが、その他はさすがに展示完了。われわれがバスで到着すると、こちらも、すでにもうかなりの人が押しかけている。事前に説明はきいていたが、このギャラリーの来場者は、K市の美術館の来場者よりも年齢が若い。すでに評価の定まった作品を受け身の立場で鑑賞するというより、自分の眼で、作品から何かをつかんでいこうといった熱い雰囲気を感じる。
展示はギャラリーの2階と3階を全部使った2フロアで、展示自体は美術館よりもゆったりしている。作品、写真、資料を所狭しと並べるのではなく、広い空間を活かした配置で、展示自体が1つの作品となっている感じだ。メインの大きな展示室には、篠○さんの写真と関連作品が並べられている。またこのメインの展示室と細い通路を隔てた別室には、今年の文化功労者顕彰が決まった細○英公さんの写真。
3階の特別室は渋○竜彦さんのコーナーで、渋○邸からお借りした『続・悪徳の栄え』などの初版本、細○さんが撮影した渋○さんの写真、篠○さんが撮影したサド侯爵の手紙(渋○家所蔵)の写真、渋○さんのテクストの抜粋などが並んでいる。抜粋ではあるが、渋○さんのテクストが外国できちんと紹介されるのはおそらくはじめてのことだとおもう。早くから来ている人たちは、資料や写真だけでなく、『夢の宇宙誌』などのテクスト抜粋を一生懸命読んでいる。これらの展示は、今回の展覧会のなかでも私が特に力を入れたものなので、その光景を見ると鼻が高い。フランス人グループにも、私から展示説明。
人がさらに増えたところで、あらためてオープニングのセレモニー。B市の市長の挨拶に続いて友人をはじめ関係者がスピーチする。私も何か話すように促され、美術館で言ったのと同じことを繰り返すのもためらわれて、このギャラリーで展示されている写真は、日本を代表する2人の写真家によるものであり、作品としての写真にも注目して欲しいということだけ、簡単に述べた。


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