闇に響くノクターン

いっしょにノクターンを聴いてみませんか。どこまで続くかわからない暗闇のなかで…。

クールな甘さーー鷹野隆大のメール・ヌード写真展

2006-11-08 15:52:41 | アート
昨日ようやく、鷹野隆大さんのメール・ヌード写真展「男の乗り方」を観た。
ヌードというから、ものすごく騒々しい作品を予想していたのだが、予想に反して作品は非常に静か、そして非常に美しい。私は、↑の公式サイトで紹介している若者を被写体としたもう一枚の作品がとても気に入ってしまった。
会場のツァイト・フォト・サロンは、画廊としてはそれほど狭いというわけではないが、鷹野さんの巨大な作品(2m×3mほどのサイズだろうか)のせいで会場が狭く感じられる。展覧会は、そんな巨大な作品が会場に五、六点だけ。そのそっけなさがいい。
被写体のなかにはペニスを勃起させて寝ころんでいる若者もあったが、だからといって、被写体の力やなまなましさで圧倒してくるというより、鷹野さんの作品は、それを写している鷹野さんの視線、あるいは鷹野さんの存在そのものをすごく感じさせる。その存在のありようが、ものすごく深くて、ものすごく静かなのだ。
なんというか、人間の肉体にズバっと切り込む鷹野さんの写真は、これ以上ないほど具象的なのに、不思議な奥行きがあって、とても抽象的にも感じられる。その抽象性は、全体のトーンがクールで、人間というよりオブジェを撮っているような無機質さを感じさせるということからくるのかもしれないが、それでいて作品のどこかに甘さがあり、自然な色っぽさがただよってくる。その甘さや色っぽさがおしつけがましくないから、心地よくそれにひたることができる。私は、作品の前でとてもいい時間を過ごすことができた。
会期が16日までなので、会期中にもう一度行ってみたい。

【参考】
鷹野隆大インタビュー(「@GALLERY TAGBOAT」サイト内)

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この展覧会を紹介してくださった「Heart Beat」サイトのコージさん、どうもありがとうございます。

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