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青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

裏の顔はハニワ顔

2017年06月10日 23時00分00秒 | 秩父鉄道

(古豪電機、油照りの午後@樋口~波久礼間)

秩父のデキのカットで未消化のがありましたのでご紹介。まあ大したカットがないので埋めカットでしょうか(笑)。デキ105。秩父の中ではヒサシ付きの元松尾工業機の生き残りであるデキ108が人気ですけど、この105も昭和31年製造ですから結構なオールドタイマー。この日は34度まで上がった秩父路ですが、油照りとも言える午後の矢那瀬を鉱石満載で下って行きました。


秩父の貨物、鉱石運搬車のヲキ&ヲキフですが、10両1ユニット×2の20両編成が基本です。編成の一番後ろに反射板がついていて、何となくホッペタを赤くしたようなハニワ顔でユーモラスである。一応緩急車としてのヲキフには係員が乗車するスペースがあるのですけど、真夏にこんな場所に閉じ込められたら暑さで死んでしまうのではなかろうか…(笑)。
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空色の機関車、青葉の谷を渡る

2017年05月26日 22時00分29秒 | 秩父鉄道

(節理の渓谷を渡る@大野原~和銅黒谷間)

和銅大橋から眺める横瀬川と荒川の出合い付近。もはや夏と言ったほうが良いような景色の中を、石灰石を満載した鉱石7006レが横瀬川の鉄橋を渡ります。横瀬川の川底には見事な節理が現れていて、長瀞から続く秩父周辺の複雑な地質を楽しむ事が出来ます。この横瀬川と荒川に挟まれた河岸段丘を要害として、戦国時代には諏訪城と言う山城が築かれていたそうで。



7006レと和銅黒谷で交換して来た返空7105レ、後パンになっているので少し後追い気味に。秩父のデキの中でもオールドタイマーのデキ105が牽引して来ました。車齢で言えば60年選手のデキですが、秩父の谷に吊り掛けの咆哮を響かせて、今日も元気に仕事中。川底に広がるこの板状の節理は地元では「畳岩」なんて言われているらしいですね。

古めかしい台車を履いたスカイブルーのデキと青葉の取り合わせ。うーん、目の保養になります。
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鳳凰デフ、薄煙に踊る

2017年05月25日 21時18分10秒 | 秩父鉄道

(赤プレパレオ、矢那瀬を行く@波久礼~樋口間)

武川で貨物を撮影した後は、パレオエクスプレスの撮影ポイントである矢那瀬のストレートへ。撮影場所が国道沿いの4種踏切なので、子供には「お父さんから離れない事」と「ファインダー覗いたら絶対に動かない事」をきちんと説明しカメラを構えます。最高気温が34℃になったこの日の秩父。元々秩父は周辺住民への配慮もあってあまり煙を出さないらしいのですが、SLパレオの煙も真夏のそれ。陽炎にやや色が付いた程度の薄煙でした。


矢那瀬からのんびり先回り出来るかと思いきや、天気のいい日曜日なのでR140の長瀞周辺の流れがすこぶる悪い。野上から川を渡って荒川対岸の県道へ回り込み、長瀞の停車時間を使って先行。どこで撮ろうか迷いましたが、子供が「秩父っぽいところで撮りたい」とか漠然とした事を言い始めた。秩父っぽいところって何だ?という問いに父親の回答はココ。武州原谷の太平洋セメント秩父工場脇のストレート。秩父と言えば武甲山とセメントと芝桜、グルメは豚みそとわらじカツに味噌ポテト!


秩父の停で追い越して、最後は武州中川の安谷川の鉄橋。赤プレ&デフに鳳凰をあしらったこのデザインは、今日限りの組み合わせなのだとか。極めてきついトップライトの時間帯、黒い被写体を写すには露出をかなり吹っ飛ばさないといけないんだけど、どうしてもヘタレってアンダー気味になってしまうねえ…

終点の三峰口まであと少し。チラリと見えたキャブの中、機関助士さんの投炭の手も緩むことがありません。


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早くも夏の秩父にて

2017年05月24日 22時22分42秒 | 秩父鉄道

(スカイブルーの力持ち@秩父鉄道デキ303)

飯山線のお話を進めているうちに季節は流れ、この週末は早くも夏を思わせるようなクソ暑さだった訳ですが、そんな中私は子供と一緒に秩父鉄道に行ってしまいました。土曜日は広瀬川原で「わくわくフェスタ」という年イチの秩父鉄道のお祭りがあったんですけど、そこをパスしてあえての日曜日。SLもデキも展示のため広瀬川原に集められてしまうわくわくフェスタよりも、やっぱ車両は走ってナンボ。今日も貨物は通常営業、返空のヲキを引き渡して武州原谷でしばし寛ぐデキ303。羽生側だけパン上げの夏パンタ仕様です。



子供はSLがやっぱいいみたいでメインはSLの追っ掛けになっちゃったんだけど、オトーサン的には秩父の主役はスカイブルーに塗られた40tクラスの私鉄電機たち。秩父のカマたちはいつ行ってもきれいに整備されているのがプライドあって好きなんだよなあ。なんなら客乗せて走る元東急のステンレス軍団の方がレールや架線の鉄粉で薄汚れているような気がする。


三ヶ尻の工場へ石灰石を満載した鉱石7004レが向かう。日曜日なので石炭貨物がなかったのは残念。麦わら帽子をかぶり農作業をしていた老夫婦が、SLそっちのけで三ヶ尻線に噛り付いている我々に向かって「SLはあっち(本線)だよ!」と教えてくれたのだが、やっぱり基本的にはSL撮りに来る人が多いんでしょうね。もちろんSLも魅力的だけど、黙々と仕事に励む秩父のデキはカッコいい。惜しむらくは、セメント貨物が終わるまでに一回は来ておきたかったねえ。
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最後の王国

2015年02月01日 11時55分05秒 | 秩父鉄道

(副本線進入…@永田駅)

秩父鉄道は、単線の割には1時間あたり約上下2本の旅客列車に貨物列車が絡む意外に過密なダイヤが組まれております。貨物列車は、上下列車を一括で退避したり、後続の電車に追い越されたり、貨物列車同士の交換をするのに長時間停車を含め実にのんびりと寝たスジで走ってるので、電車にて追っかける事も出来るのが嬉しいところ。旅客列車に比べると圧倒的に長大な編成の貨物列車は、交換や追い越されの長時間停車をする場合には本屋から一番遠く有効長の長い副本線に入り、進路の開通を待ちます。上下列車の交換待ちのために永田駅の副本線に入線するデキ501牽引の7005列車。

 

波久礼の駅から国道に出て北上、国道沿いのインカーブへ。この辺りの並走する国道140号ってのは秩父方面へのメインルートなんで、アングル的にはクルマの被りは避けられないところ。イチかバチかのギャンブル構図になってしまうので避けたかったんだが、他にこれと言って撮りたい構図もなかったんでやってみる事に。カーブの向こうにデキ(7304列車)の姿が見えた頃に奇跡的に車の流れが切れ、「っしゃあ来たか!」と思ったのだが、べスポジの切り位置ではガッツリとトラックに入り込まれるのでありました(笑)。

 

何とも中途半端な結果を抱えて波久礼の駅に戻ると、今度は返空の7105列車が副本線に進入して来ました。デキ300シリーズは、正面窓が細いのが特徴。田舎ヤンキーがかけている細いレンズのメガネのような(笑)。貨物列車は小さな波久礼駅のホームを大きく通り過ぎ、出発信号機の前まで行って停車。ブレーキ管の中をエアーが伝わる空気音が聞こえてきます。ヤマから降りて来る積載の鉱石列車は総重量1000tですが、荷卸しをして空っぽになった空車でも総重量は300tあるとか。


波久礼から上長瀞へ。この駅に初めて来た時にも思ったんだけど、ホームの上屋を支える古レールのカーブが優美な駅です。土休日は長瀞周辺の散策をする観光客も目立つ駅ですが、この日は人っ子一人おらずひっそりと静まり返っておりましたねえ。


駅の北側に続く小道から先ほど波久礼の駅に止まっていた7105列車を。ちなみにこの列車、波久礼で15分止まった後、長瀞で上り貨物、上り列車、下り列車の退避のため35分くらいの長時間停車をこなしております。そんな長時間停車の間機関士の方は何をやっておるのでありましょうか(笑)。この駅横の小道は長瀞名物の桜並木になっておりまして、開花時はSL狙いの陣取り合戦が尋常じゃない場所でもあります。あと2ヶ月もすれば、再び激戦の火ぶたは切って落とされるのでありましょう(笑)。


定番。定番。ど定番。なんか意識はしてなかったんだけど定番の親鼻鉄橋に来てしまった。午後順光なんで狙ってもいいかなと思ったのだが、西の空は雲に覆われてしまってこれでパッとしない写真になるのは確定か。荒川の流れに洗われた変成岩の河原に陣取りつつ、橋を渡って行く積載貨物の盃のような形を眺めていると、ライン下りの船頭さんも船を止めて秩父の貨物を見送ります。


親鼻の陸橋から返空の7205列車を。牽引機は松尾鉱業鉄道出身のデキ107ですが、岩手県は八幡平にあった「天空の鉱山」こと松尾鉱山からやって来たデキ107は、前面ガラス上のヒサシ(つらら切り)が特徴。松尾鉱山は、ピーク時は八幡平の山奥に1万人を超える鉱山都市を形成し、「東洋一の硫黄鉱山」と言われた天然硫黄の鉱山でした。今はワンダーJAPANとかそっち方面に有名な鉱山廃墟群となっているそうだが、いやー、産業遺産マニアとしてはこれはそそりますなあ。


太陽は西に傾き、先ほどのデキ301に牽かれた貨物列車が遠くに秩父の山並みを望む親鼻駅の副本線に入って来ました。ちなみに、秩父鉄道では電機は冬場だけパンタ2丁上げになるのです。架線の凍結などによる集電不足を予防するためなのですが、やはり片パンより2丁上げのほうが圧倒的にサマになるんで、秩父のデキを撮るには冬場に来た方がいいと思う。


親鼻を出る7106列車。秩父の石灰石列車に積まれる財源は、影森にある三輪鉱山と、武州原谷で積まれる群馬の叶山鉱山から産出された石灰石ですが、その産出量は三輪が年間70万トン、叶山が年間200万トンと大きな開きがあります。新しく開発された叶山鉱山は、群馬と埼玉の県境付近にある採掘現場から、地下に埋設された20km以上のベルトコンベアーで武州原谷の工場まで石灰石を送り込むと言う大掛かりなシステムが構築されているそうな。今は石灰石のみを運ぶ秩父鉄道ですが、以前は秩父地区に点在する工場から原石だけでなくセメント含めあまたの派生製品の出荷があり、色々な私有貨車が混成されて秩父路を走りまくっていた時代がありました。


夕暮れの武甲山をバックに、和銅黒谷駅で交換する7305列車と7206列車。デキ107は鉱山鉄道向けに投入された車両だけあって、同じデキ100シリーズに比べて出力が高いのが特徴。荷を積み、ヤマを下り、荷を降ろし、ヤマへ戻り。毎日の風景の中で、秩父の産業の動脈として黙々と続けられる営みにマニアとして感謝せねばなりません(笑)。


通常スジでは20時、臨時スジでは22時まで貨物列車の設定があるので、撮ろうと思えばまだまだ行けるのですがそろそろ帰り支度と言う事で武川の駅に戻って来ました。日もとっぷり暮れ、武川の駅で三ヶ尻線の進路開通を待つ積載の貨物列車をバルブ。三脚持ってないからきっついわー。

青いナッパ服を着た機関士が運転台に乗り込むと、機関車のコンプレッサの音。
そしてブレーキ管を抜けて行くブレーキのエアー音。
発車の一瞬20両のヲキ車が奏でる連結器の衝撃音が乾いた夜空に響けば、貨物はゆっくりと消えて行くのであります。
ああ、ここはまさしく私鉄貨物最後の王国。
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