無農薬・自然菜園(自然農法・自然農)で、持続できる自給自足Life。~自然な暮らしの豊かさの分かち合い~

信州の大地で自然農と自然農法で育てる自給農園で、日々の営みや生命を通して感じることや想うことを発信するブログ。

自然菜園の土づくり(化学肥料を使っていた田んぼの畑化編)

2012-09-09 06:51:06 | 日々の自然菜園
本日、の予報。


ついに、先日2冊目の著書『これならできる!自然菜園 耕さず草を生やして共育ち』(農文協)が発売され、
今の課題の一つは、元水田を自然菜園(畑)にすることです。

これから菜園を行いたい方が増えるに従って、畑でなかった元田んぼを借りることが多くなります。
田んぼは作土層が浅く、しかも水はけが悪いため、水田以外に使うとなると、作物を選びます。

元田んぼが、畑に自然な形で以降できたら、とても助かります。


元水田にも、2種類あります。

前水田と、元々水田の2つです。
去年まで水田をしていた前水田と、2年以上前まで水田だった畑ではどうも様子がずいぶん異なります。

写真のか細い稲は、前水田だったので、自然に稲が生えてきて今のような一部、稲が穂をつけています。
前水田は、畑の草が生えにくく、地力もあり、pHも通常で、水はけが悪い点を除けば、まあまあ野菜が育てやすく1年間はどうにかなりますが、

2年以上前に水田だったところでは、水はけが悪い上に、年々pHも低くなり、地力が落ち、痩せてくる傾向があるため、野菜が育てにくい傾向があるように思えます。


そこで、特に元々水田を畑として維持するには、しっかりと地力がつくような土づくりをしながら、水はけも改善しないと持続可能な畑として利用しにくく、一部の野菜は育つものの、育ちにくい野菜が多くなりがちです。


この前水田でも、来年以降から自然菜園が出来る畑にするために緑肥作物を育てて畑化することにしたので、参考になってくれたらと思います。

立っているところは、前水田です。現在は無数の緑肥作物の混播によって凄いことになっています。


背丈2mを超す緑肥作物は、今年5月、6月に2度蒔きした1年草のクロタラリア(マメ科)、セスバニア(マメ科)、ソルゴー(イネ科)、そして足元には耐湿性エンバクが生えています。


左側が、セスバニア。右側がクロタラリアです。


元水田の畑化に最も有力な緑肥作物の一つが、このセスバニアです。
主に湿地を好み、夏にかけて精力的に背を伸ばし、2mを越え、根も地中深くにも穴をあけ水はけをよくし、チッソ固定量は、レンゲの4倍ともいわれる田んぼの畑化には力強い緑肥作物です。



こちらは、夏のマメ科緑肥作物のクロタラリアです。
クロタラリアは、乾燥した場所が好きなので、セスバニアと一緒に蒔くことで、セスバニアが生えにくい乾燥したところに生えてくれるため、全面を覆うことができ、チッソも固定してくれるので土を豊かにしてくれる緑肥作物です。


その他にも、イネ科のソルゴー、エンバクを混ぜることで、
イネ科の根が土を耕してくれ、ワラは大量の有機物として生き物の餌や住処になり、いずれは腐植や団粒化に役立ってくれます。

今回はこの4種類の緑肥作物を5月に一度混ぜて全面に蒔いてから管理機で耕し、生えが悪いところなどに上から更に6月蒔き足して現在上の写真のように、2mを超す緑肥ジャングルになっています。


夏も終わりになってきたので、この夏の緑肥ジャングルに、秋から春にかけて土を肥やしてくれる3種類の緑肥作物を蒔き足すことにしました。




クリムソンクローバー(下)、レンゲ(右)、アルサイククローバー(左)の3種類です。

前回も数種類の緑肥を混ぜて蒔きましたが、今回も混播することで、適地適作で前面に多種多様なマメ科が生えることを狙います。

前田んぼといっても、場所によって水はけに違いがありますし、均一に見えてなかなか異なる環境です。その場その場にあった緑肥が繁茂してくれることで、その場に合った畑化が出来ることを狙います。


これらの緑肥を混ぜて夏の緑肥ジャングルの上から蒔いた後、夏の緑肥作物が花を咲いているうちに刈ります。

2mもの緑肥を刈り敷くと、すっきりし元田んぼだったのがうなずけます。


刈る前に次の緑肥を蒔くことで、根元に種が落ちて、刈ったワラが土に還り、次の緑肥作物を養います。


10日経っていってみると、夏の緑肥ジャングルを刈った足元で、すでに秋冬のハコベなどに混じってレンゲやクリムソンクローバーなど前回蒔いた緑肥作物が芽を出していました。

9月末に様子を見て、レンゲを蒔き足すかもしれませんし、10月には、ライコムギなど緑肥ムギの種を蒔き足そうと思います。

最初5月には耕しましたが、それ以降は蒔き足すのみで、耕しません。
機械では耕さないのですが、緑肥作物の根によって深く、浅く耕してもらっていますので、来年の春には水はけのよく、肥えた畑になってくれていると思います。

今回の元田んぼの畑化は、緑肥作物のみを使った抜本的改革になりました。

堆肥を入れて耕すことで土の化学的改良も大切ですが、生物(緑肥作物)の力で、物理的にも化学的にも田んぼだったところの土を畑にする効果はとても高く、それからでも堆肥は間に合うので1年余裕があれば、先に緑肥作物を導入するのも手かと思います。

まずは緑肥作物で、水はけをよく、水持ちのよい団粒構造を発達させ、マメ科による窒素固定で土を肥沃化させ、それでも足りない場合に、モミガラ堆肥のような元田んぼに向いた堆肥を導入すると最高です。

元田んぼは、水はけを良くし、通気性を高めてあげれば、あとは乾燥さえ防げれば、粘土固有の日持ちの良さが野菜を健やかに粘り強く育ててくれ最高の畑になります。



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18 コメント

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Unknown (TETSU)
2012-09-09 14:21:12
前記事でのご回答ありがとうございました。
・どのような畑にしたいのか
・土壌や気候
などをまだ漠然としているものをその土地にどのような方法が適しているのか、じっくり整理しながら観察しながらやっていきたいと思います。

本記事の記述もじっくり噛みしめさせていただきます。

とりあえず、夏草ジャングルと格闘中ですw
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コメントありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2012-09-09 18:01:41
TETSUさんへ

どういたしまして。
夏草が旺盛なのは畑が元気な証拠。

夏草を上手く土に還し、冬草が覆う畑に移行できるといいですね。

緑肥作物は、草よりも強いのでもろ刃の剣です。
最終的にどんな畑にしたいのか。計画的に取り入れるといいと思います。
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ねぎとじゃがいもの質問 (すくーる生たけうち)
2012-09-11 06:22:46
ネギの植え替え時期ですが、いつ頃までに済ませたほうがいいのでしょうか?
じゃがいもの地上部がなくなったらやろうと思うのですが、じゃいもを植えたのが遅くまだなくならないのです。

今年スクールで植えたじゃがいもの品種はなんだったでしょうか。
アンデスレッド以外の2品種忘れてしまったので教えてください。
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ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2012-09-11 08:26:29
すくーる生たけうちさんへ

そうですね。遅くても9月中旬位までに、ジャガイモも収穫し、植え直した方がいいでしょう。

ジャガイモの種類は、北アカリとハナシベツです。
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Unknown (よしざわ)
2012-09-12 22:14:43
本、拝見しました。すごいっ!すごいですね!
家宝にします♪

さっそくですが、お願いします。いちごの苗を育てる時期なんですね。土は育苗用でしょうか、そのまま畑の土でいいのでしょうか?

以前、苗で買わせていただいた、ほうずきみたいな南国のフルーツみたいなの、なんて言うんでしたっけ?
あれ最高ですね!あの味大好きです。暑いときの野良仕事中のいいおやつでした。種採りできるのでしたら、教えてもらえますか?
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ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2012-09-13 06:02:50
よしざわさんへ

本ご購入いただきありがとうございます。

イチゴの苗は、病気させでていなければ畑の土でも、培養土でも結構です。

この時期ですと、育苗というよりもう本畑に定植する時期になります。育苗は、6月~8月になります。

食用ホウズキ、別名ストロベリートマトです。
種採りは簡単です。熟した実をさらに、完熟するまで9月いぱい樹につけておき、つぶしてから沈んだ種のみ良く乾かして採ります。

拙著のナスの種採りを参考にしてみてください。

本の内容で分かりにくいことございましたら、講座中かこちらでご質問ください。
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Unknown (よしざわ)
2012-09-14 22:43:55
先日の回答ありがとうございます。

本に書かれてあるリレー栽培の図、とてもわかりやすく参考にさせていただきたいと思います。
野菜の他に小麦と雑穀を一畝づつ作りたいのですが、その場合、野菜の畝と一緒にリレーさせるのでしょうか。

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ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2012-09-15 07:53:45
よしざわさんへ

輪作と混作をミックスしたリレー栽培の図、是非活用してください。

その応用バージョンが、拙著『自然菜園』(略名)の175頁の穀物を入れた自給菜園バージョンです。

小麦や雑穀は、野菜栽培の前後に是非入れたい輪作です。

しかし、冬の小麦は肥えた場所がお好みで、夏野菜の後などが最適。

一方、夏の雑穀などは、痩せ地でもOKなので、去年あまり育たなかった場所がお奨めです。

細かいことを言い出したらきりがないのですが、ざっくり以上の点は覚えておき、前後の作物と上手にリレーが出来る組み合わせを見つけてくださいね。
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Unknown (虹のすけ)
2012-09-15 23:11:14
はじめまして、いつもブログを見て勉強させていただいております。(本も購入いたしました。)

質問なのですが、ここ何年も草がでたらトラクターで浅く耕しすだけで何も植えてない(雑草もほとんど無)畑を持っており、そこで来春にブルーベリーを植えたいと思っております。

ブルーベリーが、酸性よりの土壌を好むということなのですが、土壌改良はこの記事と同じような感じで良いのでしょうか?

ちなみに、カインズで土壌分析をしたら
PH5.5 EC0.11 石灰222 苦土34 加里114 リン酸39(石灰以降の単位㎎/100g)でした。

マルチ用の雑草は、別の場所から刈ってこないとないのですが、廃菌床や剪定チップが割と容易に手に入るので使いたいなと思っております。

よろしくお願いいたします。

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ご質問ありがとうございます。 (たけうち あつのり)
2012-09-17 06:57:18
虹のすけさんへ

出張のためご返信遅くなり申し訳ございません。

ブルーベリーは果樹なので、野菜と異成り、独自の土壌適正値があります。
(野菜と果樹では求める土質が異なる)

特に、ブルーベリーは、最適PHが4.5~5.5と極めて酸性を好む傾向があるので、植え穴に酸性のピートモスを加え、

しかも初期ある程度肥えていた方が根張りがよくなるので、牛フン堆肥も加え混ぜてから植え付けするのが一般的です。

マルチ用の草ですが、友人に昔アドバイスしたのが、ブルーベリー農園全体に、シロクローバーとエンバクの種を蒔くことです。

シロクローバーは、酸性土壌が好きで、チッソも固定し、他の草を抑え、ある程度伸びてきたら、刈って熊手で集め、ブルーベリーのしき草にすると一石二鳥になります。

友人は植えてから初期の3年くらいは、根が浅く乾燥しやすいブローベリーの、株元に秋にたっぷり剪定チップをマルチしていました。

酸性土に傾きやすい日本の土壌ではブルーベリーを自然に育てることは難しくありません。

しかし、植え付けしてから数年新しい土地にブルーベリーがしっかり根を張るまで数年は、根が張りやすいようにフォローをしてあげるといいようです。
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