映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「きたきた捕物帖」宮部みゆき

2022年04月28日 | 本(ミステリ)

楽しみな新シリーズ

 

 

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著者が生涯書き続けたいと願う新シリーズ第一巻の文庫化。
北一と喜多次という「きたきた」コンビが力をあわせ事件を解決する捕物帖。

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宮部みゆきさんの時代ものは、すべてを読んでいるわけではないのですが、
なんだか故郷に帰り着いたような、
ごちそう続きの後に、お茶漬に出会ったような、
なんだかそんなホッとする感じがします。

 

そんな中で、本作、また新シリーズなんですね。
16歳、北一は岡っ引き・千吉親分の本業だった文庫売りで生計を立てていました。
ここで言う「文庫」というのは、本ではなくて、本や小物を入れる小箱のこと。
ところがその千吉親分が亡くなってしまい、
状況は変わりながらも、なんとか文庫売りを続けることができるようになりました。
そんな彼を何かと周囲の人が気遣います。

未亡人となった千吉親分のおかみさん。
この人は盲目ながら実に鋭い感覚を持って、いくつかの謎を解き明かします。

親分と親しかった差配さん、通称・富勘。

武家屋敷の雑用係みたいな新兵衛さん。

北一はもう岡っ引きの弟子でも何でもないのですが、
なぜかちょっとした事件の下調べのようなことを頼まれてしまいます。
そしていろいろな人の力を借りて、謎が解けていく。
もちろんこんないい人ばかりではなくて、意地悪な人、腹黒い人もいます。
それは今も昔も変わりません。

そんな中で、北一は同年代くらいの不思議な少年と出会います。
オンボロの風呂屋で釜焚きをしている喜多次。
彼は見た目の貧相さとは裏腹に、鋭い洞察力を持ち格闘術の心得もあるようで・・・。
北一を助けてくれる存在になっていきます。
というのが本作の第3話。
北一と喜多次の「きたきた」コンビが、ようやくここで初披露になるとは・・・!

喜多次のおいたちの謎は、今後明かされることになるでしょう。
息の長い物語になりそうです。

 

「きたきた捕物帖」宮部みゆき PHP文芸文庫

満足度★★★★☆

 



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