映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ある日、アヒルバス」 山本幸久

2012年09月14日 | 本(その他)
人に喜んでもらえるのが一番!


ある日、アヒルバス (実業之日本社文庫)
山本 幸久
実業之日本社


                      * * * * * * * * * 

やっぱりいいなあと思ってしまう、山本幸久さんのお仕事小説。
今作は、バスガイド、高松秀子(通称デコ)のストーリーです。


アヒルバス入社5年目の観光バスガイドのデコ。
ちょっぴりドジで特に優秀というわけではないけれど、この仕事は大好き。
時には、我が儘なお客に振り回されたりするのですが・・・。


彼女はその日のお客を、彼らの特徴を掴んで把握します。
例えばこの日の「これはお得!東京名所ぐるり旅」

賑やかなおばあちゃん3人組は"チャットモンチー"

おじさん4人にそのうち誰かの奥さんらしきオバサンがひとりのグループは"サザン"

ラフな格好のおじさん5人は"オレンジレンジ"

年寄りが半数以上の男性7人は"笑点"

男女のカップル二組は、その雰囲気から"オシドリ"と"不倫"

元気で写真撮りまくりの女子高生っぽい女の子には"チェキッコ"

何やら紳士風の初老男性は"偽伯爵"

・・・と、こんな具合。
なるほど、人の顔と名前を覚えるのが苦手な私でも、これなら印象に残りそう。


さて、ここに登場したチェキッコが、
後にバスガイドに憧れてデコの後輩として入社してきます。
思いがけず、その新人研修の教育係に任命されたデコ。
彼女の悪戦苦闘の日々が始まります。
教育係のもう一人、大先輩の"鋼鉄母さん"。
あまりにも厳しいので、デコ自身も苦手ですが、
鋼鉄母さんは子どもを保育園へ送り迎えしながらギリギリで頑張っています。
そんな姿を見ながらデコは働くことの大変さ厳しさを知り、
そしてなお自分の仕事が大好きになっていくんですね。
いつもながら山本幸久さんが描く、
頑張っているお仕事人には元気を分けてもらう感じです。
何よりも自分の仕事が人に喜んでもらえること、それが励みになるんですよね。
・・・けれど私のような事務職は、なかなか顧客の満足が目に見えたりしないので、
ちょっぴり虚しいことがあります・・・。
デコがうらやましい!!


この文庫版には特別書きおろし短編「リアルデコ」がついていまして、
東京スカイツリー登場。
お得です!

「ある日、アヒルバス」山本幸久 実業之日本社文庫
満足度★★★★☆


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1 コメント

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良いこと悪いこと、楽しいこと哀しいこと (イロド)
2013-03-16 00:31:51
お仕事青春小説って、意外にイロイロありますけど
この作品は好きですね~。
お気楽ながら結構考えが深い小説でした。
なにより「あひる」ってところから惹かれちゃう(笑)。
山本さんってどんな才能の持ち主なの!?って思ってしまいます。
ネットで探してみたら、細かく解説しているサイトを見つけました!
http://www.birthday-energy.co.jp

新作「幸福トラベラー」も出たみたいですけど、
今後はもっと活躍が期待できそうですね!!
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