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秘密 THE TOP SECRET

2017年09月29日 | 映画(は行)
死者の記憶映像



* * * * * * * * * *

死者の記憶を映像化し、犯罪捜査を行う科学警察研究所、法医第9研究室、通称第9。
そこで捜査にあたる人々の物語。



転勤したての捜査官・青木(岡田将生)が赴任したその日、
家族惨殺事件で死刑となった男の記憶の映像化が行われます。
そこには、男の娘・絹子(織田梨沙)が家族に刃物を振り上げる姿が・・・。
つまり本当の犯人は娘の方で、男は冤罪で死刑になったことになります。
あまりのことに警察上層部はこのことを公表しないと決断。
しかしこのままでは真犯人である絹子が野放しになってしまいます。
青木は室長・薪(生田斗真)とともに、
密かに絹子の行方を追うことにしますが・・・。


生きている人物の記憶を映像化できればいいのですが、
開頭し脳に電極を差し込まなければならなかったりして、
やはり死者でなければ無理のようなのです。
死後に冤罪とわかるなんていうのは、最悪ですね・・・。



ある連続殺人犯の脳内映像を見た警察官が何人も、
その後自殺したり、精神を病んで去っていったというのもわかる気がします。
そのサイコパスの狂気が自分に同化してしまうような感じになるのかも。



ところで作中では、この映像自体は「真実」ではないということになっています。
その人が心で見た記憶が映像化されるということで、
例えば自分をの首を占めた殺人犯の顔、
その映像の顔は鬼のようになっていたりするのです。
だから、この映像が必ずしも「真実」ではない、
と、ここのところがミソですね。



そして、臨死体験として見たものが映像化されれば・・・
もしかすると死の間際は、恨みつらみや悲しいことばかりを見るわけではない
ということも思わせて、少し救われる思いもするのです。



この装置は、主に殺人の被害者に用いられるので、
その間際の悲惨な映像ばかりを見ることになり、耐えられなくなってしまう。
けれども、人が生きていく間には、もっと美しいものや楽しいことをたくさん見ているはず。
第9の捜査員たちには時々そうしたリハビリが必要なのかも・・・
なんて、どうでもいいことを思ったりしました。


本作中の絹子の、時に艶かしく、時に無邪気というブキミな人物像が興味深い。
<WOWOW視聴にて>

秘密 THE TOP SECRET [DVD]
生田斗真,岡田将生,吉川晃司,松坂桃李,織田梨沙
松竹


「秘密 THE TOP SECRET」
2016年日本149分
監督:大友啓史
原作:清水玲子
出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明、織田梨沙
不気味度★★★★☆
満足度★★★.5


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