映画と本の『たんぽぽ館』

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転々

2020年11月28日 | 映画(た行)

てくてく歩きのロードムービー

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先日見た三木聡さん監督作品「インスタント沼」がいたく気に入った私。
同じく三木聡監督作品ということで見てみました。
本作の方が「インスタント沼」より前の作品となりますが。

 

幼い頃両親に捨てられた、孤独な青年・文哉(オダギリジョー)は大学8年生。
84万円もの借金を抱えています。
返済期限が迫ったある日、借金取りの福原(三浦友和)から奇妙な提案を持ちかけられます。
吉祥寺から霞ヶ関まで、福原と一緒に散歩するだけで
借金はチャラとした上に100万円の報酬を出すというのです。
福原の意図も目的も全く不明ながら、
文哉には選択の余地もなく、同行し散歩することになりますが・・・。

 

「インスタント沼」でもそうでしたが、
俳優に振る役柄が通常のイメージとはかけ離れているのが面白いのです。
ここでのオダギリジョーさんの文哉はまあ、予想の範疇ですが、
三浦友和さんの福原、こんな三浦友和さんは他では見られない。
実にユニークなおじさんなのであります。

2人はてくてくと東京を歩き回る。
これも一応ロードムービーですかね。
福原の本当の目的地は桜田門、警視庁。
彼はある「罪」を犯し、自首しようとしているのです。

 

どうにもわけのわからないおっさんだ・・・と文哉は思っていたのですが、
次第に福原に親しみを覚えていきます。
そして、何日もかけて歩き回り、福原の知り合いと出会ううちに、
疑似家族のような関係を結ぶ人たちとも出会う。
これまで経験がなかった「家族団らん」を、文哉は味わうのです。

 

そうそう、作中では道ばたで「岸部一徳」と出会うといいことが起こる、
ということになっていまして、文哉は実際会うのですね。
岸部一徳さんが岸部一徳役で登場するという・・・。
いや、ホント、他の誰といわれるよりも説得力がある気がします、岸部一徳さん。
だから意外にも変に波瀾万丈なストーリーにはならず、
なんだかほのぼのとしてしまうのです。
これもまた、面白かった。

駆け出しの吉高由里子さんが、カワイイ!! 
でも、イメージは今のまま・・・
というより本作のイメージが今もそのままというべきなのか。

 

<Amazonプライムビデオにて>

「転々」

2007年/日本/101分

監督・脚本:三木聡

原作:藤田宜永

出演:オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松亮、ふせえり、岸部一徳

 

ロードムービー度★★★☆☆

ほのぼの度★★★☆☆

満足度★★★★☆

 



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