映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

恋するリベラーチェ

2014年08月06日 | 映画(か行)
キンキラキン



* * * * * * * * * *

本作は、このポスターの気色悪さで、見る気にならないでいたものなのですが・・・。
マット・デイモンが気になるので、思い切って見てみました。
そもそも内容をよくわかっていなかった。
リベラーチェは1950~70年代、
アメリカで派手な衣装とパフォーマンスで一世を風靡した実在のピアニストの名前。
そちらを演じているのがマイケル・ダグラス。
その付き人というか愛人なのがスコット・ソーソン(マット・デイモン)です。
ラスベガスで出会った2人は惹かれ合い、
リベラーチェはスコットを彼の豪邸に住まわせます。
愛人を囲う、まさにそういう感じ。

もともとゲイではありますが、ごく普通に誠実・真面目に思えたスコットですが、
次第に身を持ち崩していくさまが哀れです。
リベラーチェ好みのギラギラの服を着て常に彼に寄り添うスコット。
まるで彼自身が名声を得たように見えますが、
既にその時から、やがて捨てられてしまうのが目に見えるような・・・。
哀れな男娼。



いつぞや見た映画「ブリングリング」の題名を思い出しました。
まさにキンキラキン、ギラギラ・ピカピカの衣装に身を包むリベラーチェ。
時代は70年代か・・・、
このやけに鬱陶しく長い髪が時代を物語っています。
同性愛はまだ市民権を得ておらず、やがてエイズが同性愛者を中心に広まっていく。
つまりはそういう時代とともにあるストーリーなのでした。
ラストでやっと気がついた・・・。



リベラーチェはこれまでに愛人を何度も入れ替えており、
この屋敷に住まうのもスコットが初めてではありません。
同性愛もまあ、その人の好き好きなのでそこはいいのですが、
私が最も怖気を感じてしまったのは、
リベラーチェがスコットを自分に似た顔に整形させた所。
彼は息子が欲しかったのでそうしたようなのですが、
どうにもこれは相手のアイデンティティまでもを突き崩すことのように思えて、
耐え難く感じました。
スコットもこれにはやや不快を感じたようなのですが、
結局はリベラーチェの要求を受け入れてしまいます。
後にそのことを呪う言葉も吐きますが、
ここのところはもっと、大きな問題として取り上げても良かったのではないかと思います。



男女の愛と同様に、蜜月のようなときは儚くも過ぎ去り、
リベラーチェは浮気、
二人の間の溝が深まっていきます。
やがて別れた時にスコットは鏡を見る度におのれの愚かさを呪うでしょう。
残酷な話です。
・・・また手術すればいいのですが、お金なさそう・・・。


始めマット・デイモンがやけに太っているなと感じたのですが、
後ほど痩せるシーンがあり、
そのためにわざとウエイトを増やしていたようです。
まあ、いろいろな意味で体当たりの演技のマット・デイモンでありました。

恋するリベラーチェ [DVD]
マイケル・ダグラス,マット・デイモン,ダン・エイクロイド,スコット・バクラ,ロブ・ロウ
TCエンタテインメント



「恋するリベラーチェ」

2013年/アメリカ/118分
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マイケル・ダグラス、マット・デイモン、ダン・エイクロイド、スコット・バクラ、ロブ・ロウ
時代性★★★★☆


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