乙女から魔女へ
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ロシアの作家、ニコライ・レスコフの小説
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を映画化したものです。
19世紀後半のイギリス。
17歳キャサリンは裕福な商家に嫁ぎますが、
夫は彼女に興味を示さず、体の関係を持ちません。
舅からは外出を禁じられ、人里離れた屋敷で退屈な日々を過ごします。
そんなある時、夫が長期間不在となり、キャサリンは使用人セバスチャンに誘惑されて、
不倫関係になってしまいます。
そして彼女は次第に欲望が抑えられなくなり・・・。
当初、映し出されるキャサリンは、若く初々しい少女でした。
ところがこの結婚はどうも、この家の対面を保つためだけのものだったようです。
なぜか夫は彼女に服を脱ぐように言って、裸体を眺めたりするのに、
指一本触れようともしません。
そしてまた、ただ厳格な舅も、嫁へ向けたいたわりも好意すらも示しません。
一応裕福な家なので、家事などはすべて使用人が行い、
キャサリンは外出まで禁止されていて何もすることがない。
そんな彼女が、舅も夫も留守という期間に、
つい出来心が起こってしまうのは仕方のないことかも・・・。
でも、そんな同情も吹き飛ばすように、物語は進行していきます。
当主である舅の死。
そして不意に夫が帰ってきた夜、ベッドにはセバスチャンがいます。
とっさに、セバスチャンは身を隠すものの、
夫はとうに妻の不倫のうわさを耳にしていて・・・。
事件が起きます。
が、その後にまた、驚愕のできごとが・・・。
夫がキャサリンを愛そうとしなかった理由が伺われて、
ちょっと驚かされましたが・・・。
キャサリンはこの家を支配したいという自らの欲望を
次第次第に増長させていきます。
邪魔者は排除するしかない・・・。
あの初々しかった少女が、ほとんど魔女に変貌していくのです。
恐い、恐い・・・。
さて、この屋敷の使用人たちは、主の留守中のキャサリンの様子をすべてわかっているのですが、
キャサリンを咎めたりはしません。
主のいない間は、この家を取り仕切るのはキャサリン。
家の主人のすることに意義を申し立てるなどという発想がそもそもないようです。
そしてまた、この家の当主が誰になろうとも、
そのまま自分の仕事が続けられるのならそれで良いと、使用人たちは考えている。
そうした分断されたこの家の内部構造もなかなか興味深いのでした。
<Amazon prime videoにて>
「レディ・マクベス」
2016年/イギリス/89分
監督:ウィリアム・オルドロイド
出演:フローレンス・ピュー、コズモ・ジャービス、ポール・ヒルトン、
ナオミ・アッキー、クリストファー・フェアバンク
欲望追求度★★★★★
満足度★★★★☆
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