映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

理由なき反抗

2011年01月09日 | ジェームズ・ディーン
お父さん、強く正しい家族のリーダーを務めていますか?

理由なき反抗 特別版 [DVD]
ジェームス・ディーン,ナタリー・ウッド,ジム・バッカス
ワーナー・ホーム・ビデオ


            * * * * * * * *

「エデンの東」に続くジェームズ・ディーン主演作の第2作ですね。
17歳ジムは家庭内の不和から、つい反抗的態度に出てしまいます。
冒頭は、酔いつぶれた彼が警察署に連れてこられるシーンから。

シンバルをたたく猿のオモチャが落ちていて、
彼はそれに新聞紙を掛けて寝かせようとしたりしている。
本当は心の優しい子ということが解るよね。
ジムはとにかく自分の父親がふがいないと思っているんだね。
母親は独善的で、高圧的。
夫の言うことにはいちいち文句をつけるし、夫はそれにいいなり。
アメリカでは強く正しい家族のリーダー、という
確固とした理想の父親像というのがあるよね。
そう、今でこそ離婚された情けない姿の父親像はあふれているけれど・・・
まあ、それも本来の理想の父親像があるからこそ、その裏返しなんだろうなあ。
アメリカはともかく日本でも今はこういう父親像、どこにでもあるって感じ・・・。
だね・・・。
ともかく、ジムはそんな父親が嫌で嫌でしょうがない。
彼は友人たちから“チキン”と呼ばれることに異常に反応してしまうんだ。
チキンってのは、ひよっこ・・・まあ、“弱虫”みたいな感じかな。
それというのも、彼自身父親のことをそのように思っているからなんだね。
自分は決してそんな風にはならない、自分は違うぞ、と思っている。
それでつい、“チキン”と呼ばれることが嫌さに、
不良少年グループの挑発に乗って“チキン・ラン”をすることになってしまうわけだ。
その“不良”って言葉、何だか懐かしい気がするね。
そうだねえ。今はあんまり言わないかな。
ツッパリ?・・・というのも古いか。ヤンキー?
はは。アメリカではまさかヤンキーとはいわないよね。
まあ、いつの時代もティーンエイジャーは親に反抗するもんなんだよ・・・。
素直ないい子ばかりだったら気持ち悪い。
ここでジムに同調し仲間になるのがジュディとプレイトウだけど、
彼女らも結局家庭でうまくいっていないわけだ。
愛情不足・・・。
17歳くらいって、端から見るとオトナに近いけれど、
実はまだ子供で、親はしっかりと支えてあげないとダメ、ということかなあ。
その加減が実に難しいところだと思うんだけどね。
しっかりと相手の人格を認めつつ、愛と信頼を持って接するべきだ・・・。
言うのは簡単なんだけどねえ。
その年頃ってつまり、一人の人間としてのアイデンティティ確立の時なんだよね。
親としては何とかそれを助ける方向に働きかければいいんだろうな。
ジムってさ、いい奴だよね。
気持ちがまっすぐで、友達には思いやりがあって。
なのにどうして親を相手にするとああなってしまうのか・・・と、思わずにいられないけれど。
親もまた不完全な人間である、ということを受け入れられないのが、
やはりまだ子供だということなんだよ・・・。
なるほど・・・。


チキン・ランは、二人で崖に向かって車を走らせて、
先に車から降りた方が“負け”なんだね。
出来るだけぎりぎりまで乗っていた方が“勇気がある”ということだ。
しかし、この時相手のバズは失敗し車もろとも崖から転落してしまう。
ここのシーンは有名だよね。
私も、理由なき反抗というと、このシーンだけ、しっかり覚えていたよ。
でも、このドラマのさらに重要なシーンは、
終盤ジムたち3人が無人の屋敷に忍び込む当たりからだね。
忍び込んだその邸宅のからのプールではしゃぎ回る彼らは、やはりまだ無邪気な子供だ・・・。
そしてプレイトウというのが、本当に気の弱い孤独な子なんだ。
その彼が拳銃を持ち出す。
こういう子が拳銃を持つと怖い。簡単に暴走してしまうよね。
そうして、悲劇が起こる・・・。

若く繊細というジムの役柄、ジェームズ・ディーンにはまり役。
ステキです・・・。

1955年/アメリカ/111分
監督・原作:ニコライ・レイ
出演:ジェームズ・ディーン、ナタリー・ウッド、サル・ミネオ、デニス・ホッパー


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