映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「空よりも遠く、のびやかに」川端裕人

2021年07月07日 | 本(その他)

何事にも熱中できる、若さっていいな・・・

 

 

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桜舞う高校の入学式で、瞬は一目惚れをした。
その相手、花音はトラウマを抱え引退した元ユース・クライマーだ。
今は地学オリンピックを目指す花音に誘われるがまま地学部に入ったのに、
ひょんなことから才能を見いだされた瞬はクライミングで五輪を目指すことに!
しかし、世界は未知のウイルス蔓延に襲われ、五輪の中止が決まり……
2人の夢は?
さらに、淡い恋の行方は?
圧倒的青春小説!

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久しぶりに読む、川端裕人さん。
やはり青春冒険小説、ワクワクしますね。
本作はなんといっても文庫書き下ろしということで、話題が新しく、
このコロナ禍のことも重要な出来事として出てきます。

テーマはクライミングと地学。
それ、どういうつながりがあるの?と思ってしまい、
作中で何度も語られるところではあるのですが、
でもなんだかピンと来ない、というのが正直なところでした。

でも、この度からオリンピック競技となったクライミングについては、
興味のあるところでしたし、
「地学」とだけ聞いてヤケに堅くて地味な感じがするのですが、
地球の歴史、気象、天文、様々なジャンルがあって、
これもなかなか興味深いところではある、と再認識させられました。
登場する高校生たちは、スポーツとしてのクライミングに取り組みつつ、
地学部でそれぞれの課題にも取り組むのです。

 

地学教室は校舎4階のいちばん端、いちばん辺鄙なところ。
あれ、この設定はあの「古典部」シリーズにも出てきたような・・・。
地学って、どこでもそういう扱いなのね。

私はこの高校生たちの、バイタリティと知力・体力共に充実したキラキラしさが
なんともまぶしく感じられました。
若いっていいなあ・・・。

自分の高校生時代を思い浮かべたら、帰宅部だし、かといってモーレツに勉強した覚えもなく、
なんとも淡々と過ごしてしまっていたことに思い当たりました。
私は常々、人生やり直すなんて、そんなめんどくさいこと、とんでもない
と常々思っていましたが、こんな充実した高校生活を送るために、
もしかなうことならばそこだけもう一度やり直してもいい・・・
と、思った次第。
いやいや、やり直せないから・・・。

 

「空よりも遠く、のびやかに」川端裕人 集英社文庫

満足度★★★☆☆



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