富山のご当地ミステリ、始まり~!
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観察力の高さゆえに、トラブルや事件に巻き込まれがちな大学生・久能整。
ある日、とある事件で整を取り調べたことのある刑事・風呂光のもとに不穏な知らせが届き…!?
新たな謎が浮かび上がる新エピソード、開幕!
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「ミステリと言う勿れ」新刊です。
新エピソード。
風呂光刑事の元に、富山の祖母から連絡が入ります。
風呂光も親しかったある女性が亡くなり、警察は事故死としたのだけれど、
祖母はそんなはずはない、と言うのです。
誰かに殺されたのかもしれないから、調べてほしい、と。
管轄も違うし、すでに事故と断定されたのなら、風呂光が出る幕はありません。
けれどやむなく、一般人としての立場で富山に向かうことにした風呂光。
そして、整くんの協力を仰ぐことに・・・。
と言うことで、富山が舞台のご当地ミステリの始まり始まり~!
整くんは本巻始めでは岐阜のスキー場にいるのです。
以前知りあい、家庭教師をすることになった三つ子の別荘に招かれたとのことで。
整くんとスキーなんて、なんとも意外な組み合わせだけれど、
整くんは子どもの頃北国で暮らしたことがあるので、スキーは少しできるという。
ところが、普通なら3ターンくらいで降りてくるところを
何度も何度も折り返してなかなか降りてこられない・・・。
いやあ、ここのところでは私、個人的に大いにウケました。
私と全く同じなんですもん。
やっぱり、スピードが恐いのよね・・・。
風呂光のお祖母さんは、以前教師をしていて、
今もなお多くの教え子達が彼女を慕ってやって来ます。
厳しくも子ども思い。
大抵の物語ならこんな時、お祖母さんをひたすら優しくいい人に描くと思うのですが、
整くんの観察眼はもっと鋭い。
「立場が強い人、言葉が強い人は、本人の知らないうちに他人を屈服させてる時があります。
ところが、屈服させた相手をそんな弱いことでどうするんだ、
って責めることがあるんです」
自分の母と祖母がうまくいっていないことに思い当たる風呂光。
自分が警察官なのだから、整くんを名探偵にして自分がワトソンになってはダメだ、
と祖母に言われてしまった彼女ですが、
自分で納得し、前へ進み始めます。
作中ほんの小さな一コマだけれど気になるところがありまして、
風呂光が雑誌ライターの青年と親しげに話しているところを見てしまった整くんに生じた「?」。
何? この感情は何?
ううむ・・・・。
それはさておき、本巻中最も感動的な場面は、
整くんが富山の雨晴駅近くの海岸から眺めた光景。
海岸に立ちながら雄大な立山連峰が眼前に迫っている。
そばには義経伝説の残る岩。
この壮大な光景を、整くんはスマホのビデオ通話でライカさんに送ります。
こんな風景をライカさんと一緒に見たいと思っていたところに、
彼女から電話がかかってきたのです。
見開きページの整くん。
素晴らしー!!
義経伝説のあるこの場所に整くんを立たせたのは、
著者、絶対に菅田将暉さんを意識していますよね。
あー、このシーン映画で見たい。
(今進められている映画は、このエピソードではなくて広島編なのだけれど)
それと今回、整くんが時々レンくんを思い出したりしているのもよい感じです。
どんどん広がっていく整くんの世界。
今回の謎は、実は深まるばかりでちっとも解決に向かっておらず、
次巻が非常に待ち遠しい!!
「ミステリと言う勿れ 12」田村由美 フラワーコミックスα
満足度★★★★★
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