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君に届け

2020年07月28日 | 映画(か行)

三浦春馬さん、追悼

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三浦春馬さん追悼の意味をこめて、10年前の作品ですが拝見。

いつも自信なさげにうつむいていて、いかにも暗いので
「貞子」と皆から呼ばれている爽子(多部未華子)。
けれど彼女は人一倍けなげで純粋。
人知れず掃除をしたり、ペットボトルのフタを外して集めたりしているのです。
そんな彼女は、クラスの人気者で、いつも明るく爽やかな風早(三浦春馬)に憧れているのですが・・・。

引っ込み思案の爽子に友人ができ、彼女を気遣う風早とも交流するうちに、
徐々に変わっていく彼女の姿を描きます。
10年前というよりほとんど昭和かと思えるくらいに、うぶで純粋な高校生のラブストーリー。
確かに、今時の高校生は進んでいるというのが私の印象ではありますが、
大半はやっぱり昔と変わらずに、恋の入り口付近で戸惑っている
「かわいい」子たちなのかもしれません。

さて、本作で爽子を見てまず思ったのが「のぶた」そっくり!!ということ。
おどおどしていて暗くて・・・。
ついこの間まで再放送で見ていたので、その印象が非常に強い。
まずそのロングヘアをどうにかすれば、せめて「貞子」とまでは呼ばれないのに
・・・と余計なことを思ったりして。

でも本作は、風早や友人たちが彼女をプロデュースして人気者にするというのとはちょっと違う。
いつもけなげで人のことを思う爽子が、
友を得てそんな自分に自信が持てるようになっていくのですね。
まあ、そのあたりの運びはとても納得のいくモノでした。

しかるに、風早のことが私は少し納得いかない。
いかにも明るく爽やかで自分を表現することに何のためらいもなさそうなこのコが、
意外にも自分の恋心を相手に伝えられない。
口に出さずとも、この思いが「君に届いて」ほしい・・・。
こんな奥ゆかしさが、ちょっと意外に思えてしまう。
印象としてはもっと気軽に告白できそうな感じなんですけどね・・・。

というところで、今だからこそか、私は思う。

そうか、いかにも明るくて爽やか。イケメン。
多くの人が望んでも得られないモノをいくつも持っている人・・・。
あまりにもまぶしくて、私たちはついその外側だけを褒めて憧れて、
その内面を見ようとしないのかもしれません。
内面は、そんな見かけでわかるものではないのに。

もしかすると、三浦春馬さんの中にも
ただ明るくて爽やかと思われることの苦しさがあったのかなあ・・・などと思ったりします。
それにしても、なんとも残念です。
もっと今後も活躍を拝見したかった・・・。

 

それとあまりにも私の認識不足ですが、
井浦新さんが以前「ARATA」名で仕事をしていたのをこれまで知りませんでした・・・。

 

 

「君に届け」

2010年/日本

監督:熊澤尚人

原作:椎名軽穂

出演:多部未華子、三浦春馬、蓮佛美沙子、桐谷美玲、富田靖子、ARATA(井浦新)

 

初恋のもどかしさ★★★★☆

三浦春馬さんを偲ぶ度★★★★★

満足度★★★★☆



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