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「あの日、君は何をした」まさきとしか

2021年05月24日 | 本(ミステリ)

息子にのめり込みすぎる母親が・・・

 

 

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北関東の前林市で暮らす主婦の水野いづみ。
平凡ながら幸せな彼女の生活は、
息子の大樹が連続殺人事件の容疑者に間違われて事故死したことによって、一変する。
大樹が深夜に家を抜け出し、自転車に乗っていたのはなぜなのか。
十五年後、新宿区で若い女性が殺害され、
重要参考人である不倫相手の百井辰彦が行方不明に。
無関心な妻の野々子に苛立ちながら、母親の智恵は必死で辰彦を捜し出そうとする。
捜査に当たる刑事の三ツ矢は、無関係に見える二つの事件をつなぐ鍵を掴み、
衝撃の真実が明らかになる。
家族が抱える闇と愛の極致を描く、傑作長編ミステリ。

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主婦いづみは、夫と長男長女がいて、過不足ない生活をしていました。
その日、息子大樹の大学入学祝いを家族団らんで過ごし、
自分はなんと幸せなんだろうと思う。
しかし、その息子が深夜に家を抜け出し、殺人事件の容疑者に間違えられて事故死してしまう。
悲嘆に暮れ、ほとんど正気をなくしてしまういづみ・・・。
ここまでが第一部です。

 

そして、第二部はその十五年後。
全く別の登場人物で話は始まります。

ここでは、とある女性の殺人事件とその容疑者である男性の行方不明が描かれるのですが、
第一部で語られたストーリーとは同じ名前がなかなか出てこず、
この物語がどう終息しようとしているのか、読者としてはかなりのめり込みます。
そして全く意外な形で、時を超えた二つの事件が絡み合うのでした。

さらに本作のいちばんの謎、あの日大樹はどうして深夜に家を抜け出し、
事故を起こすようなことになってしまったのか、
それがまた予想外の真実を魅せるのです。
ミステリとしては、一級品。

 

だけれども、私はこのいづみのようなほとんど狂的な女、特に母親像がどうも苦手なのです・・・。
息苦しくなって、いたたまれなくなってしまう。
もしかすると自分の中にそれほどの母性愛がないことの裏返しなのかもしれないと思ったりもしますが・・・。

というわけで地元作家さんでベストセラー図書ではありますが、
個人的にはあまり好きではない・・・。

 

「あの日、君は何をした」まさきとしか 小学館文庫

満足度★★★☆☆

 



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