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「よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記」西條奈加

2023年05月20日 | 本(ミステリ)

小粋な祖母と孫の物語

 

 

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多発する万引きに町内会全体で警戒していた矢先、
犯人らしき人物をつかまえようとした菓子舗の主人が
逃げる犯人に突き飛ばされて怪我をしてしまった!
正義感に駆られる望と洋平は、犯人の似顔絵を描こうと思い立つが……
商店街を巻き込んだ出来事を描いた「よろずを引くもの」を始め、
秋の神楽坂を騒がす事件の数々を収録。
粋と人情、そして美味しい手料理が味わえる大好評シリーズ、
待望の最新作!

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西條奈加さんの神楽坂日記シリーズ4巻目。
本巻は連作短編となっています。

若かりし頃、芸者をしていたお蔦さんは、料理男子の孫・望と同居しています。
この家族とご近所商店街で起こる謎や事件をひも解いていく物語。

 

表題作「よろずを引くもの」は、その言葉通り、「万引き」の話。
ご近所でも、万引きの被害が大きいとウワサしていた矢先に、
とある菓子舗の主人が逃げる犯人に突き飛ばされて怪我をしてしまった!
望とその親友洋平は、その犯人の似顔絵を描いて、
犯人を突き止めようとします。

万引きをする側の心理・事情にも触れていく作品。
それにしても、あまりにも万引き被害が大きくて
閉店までせざるを得なくなるということもあるという・・・。
困った世の中です。

いつものごとく、少年達の純粋な正義感と行動力、
そして経験を積んで小粋な老婦人のコンビネーションが楽しい。

この先も楽しみですね。

 

「よろずを引くもの お蔦さんの神楽坂日記」西條奈加 東京創元社

満足度★★★★☆



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