映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アメリカン・アニマルズ

2019年06月03日 | 映画(あ行)

特別な人間? 

 

* * * * * * * * * *


実際にあった事件を、本人たちのインタビューも交えながら描いた作品です。



2004年、ケンタッキーで退屈な大学生活を送っていた
スペンサー(バリー・コーガン)とウォーレン(エバン・ピーターズ)。
二人は何か「特別」な人間になりたいと思っていました。
ある時、大学図書館の1200万ドルの価値があるといわれる画集を盗み出す計画を思いつきます。
ジョン・ジェームズ・オーデュボンによる緻密で美しい図版「アメリカの鳥類」を、
スペンサーは絶対手に入れたいと思っていたわけでもなく、
また、二人とも特別お金に困っていたわけでもありません。

ただ、これをやり遂げれば、何か特別な人間になれるのではないか、
平凡な生活では見えない何かが目の前に現れるのではないか・・・
そう期待したのです。
二人では手が足りないため、FBIを目指す秀才エリック(ジャレッド・アブラハムソン)と
すでに実業家として成功しているチャズ(ブレイク・ジェナー)を迎え、
計画を練っていきます。
そして決行日。
特殊メイクで老人に変装した4人は、図書館へ足を踏み入れる・・・。

緻密な計画を立てたつもりが、
穴だらけでグダグダな実行となってしまったのでした・・・。
しかし、ダメだったからと言って、笑い事で済むことではありません。
司書を縛り付け、恐怖にさらし、いくつかの本を実際に盗み出しもしたのです。
いつ犯行がバレて、警察が踏み込んでくるか・・・。
平和で安穏な今の家族との生活や将来の生活設計、自分の社会的な信頼・・・
すべてが崩れ去る恐怖。
決して遊び半分や度胸試しですることではなかった・・・と思い知るのです。
犯行に至るまでも彼らは恐怖におののいていましたが、
その後もなお一層恐怖を感じていました。
そして私達も同じ思いを共有させられてしまいます・・・。

そしてラストにまた一つ驚きの仕掛けがありまして、
これもまたスパイスのように効いていました。

現在、服役を終えた彼らは、通常の生活に戻っているわけですが、
犯罪の失敗という結果も含めて、常人では得られない体験をしたことは確かです。
けれどやはり、リスクのほうが大きいですね。



さて本作、「ディノスシネマズ札幌劇場」で、私の最後の鑑賞となりました。
現在6スクリーンのこの劇場がなくなるのは、札幌の文化としても大変な痛手です。
私が好んで見るようなマイナー作品を意欲的に上映してくれていましたので・・・。
現在、代わりの場所を探しているとのことですので、
極力早期の復活を期待しております。
これまでの上映に、感謝!!

※ディノスシネマズ札幌劇場は、ビル取り壊しのため2019年6月2日をもって閉館


<ディノスシネマズにて>
「アメリカン・アニマルズ」
2018年/アメリカ/116分
監督:バート・レイトン
出演:エバン・ピーターズ、バリー・コーガン、ブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン



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