映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ウエザ・リポート 笑顔千両」宇江佐真理

2010年10月25日 | 本(エッセイ)
きっぷのいい江戸のおかみさん

笑顔千両―ウエザ・リポート (文春文庫)
宇江佐 真理
文藝春秋


            * * * * * * * *

我が敬愛する宇江佐真理さんのエッセイ集です。
しかし、冒頭の一文を読んでたまげました。
著者はウエザ・リポートというタイトルでエッセイを書くために
ペンネームを決めたのだそうです。
ウエザー・リポートはすなわち天気予報ですね。
宇江佐なんて、珍しい名前・・・とは思っていましたが、
こんな秘密があったとはちーっとも知らなかった。
いやはや・・・。

・・・ということで、このエッセイ集、
ほとんど著者が文壇デビューした頃のものから順を追って並んでいます。
函館生まれ、函館育ち、そして今も函館在住の著者。
なんとデビューは46歳・・・?
専業主婦が台所でコツコツと小説を書いて、日の目を見たのですねえ・・・。
しかし、小説家を志したのは高校生の頃・・・とありますよ。
う~む、継続は力ですね。
そして夢をあきらめないこと・・・。
でも、宇江佐さんにとっては今も本業は小説家というよりは、
妻であり母であり・・・そして作家である。
このスタンスを守っているように見受けられます。
北海道人として、そして主婦として、
私は勝手に共感と親しみを抱いてファンなのであります。
でも、ファンというのもおこがましい、
まだ著者の代表作「髪結い伊三次捕物余話」も読んでいないのです・・・。
今後を期待してください・・・。

ところで、この本を読んでよく解ったのですが、
宇江佐さんは、きっぷの良い江戸の女将さんタイプ。
なるほど、彼女のストーリーの登場人物には、
結構ご本人が投影されているのかも知れません。
なにやら文にキレがあって小気味よいのです。
とても楽しめたエッセイ集でした。

それに、この表紙のカットがまたいいじゃありませんか。
函館の五稜郭方面から函館山の方を見たのですね。
そこで洗濯物を干しているのはまさに宇江佐さんに違いないと思うのですが、
これがやっぱり江戸の女将さんだ。
宇江佐さんは団塊世代なので、私よりは少し年上です。
姉様。
そう呼ばせていただきたい。
北海道新聞掲載のエッセイも楽しみにしておりまする。

満足度★★★★☆


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2 コメント

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冬のたより (パール)
2010-10-26 20:01:13
雪景色の札幌をニュースで見ました。雪囲い・タイヤ交換・暖房器具の準備…お忙しいのでしょうか?
初雪のたよりが届き、今年も冬が始まったなあと思いました。

私は、時代小説の中でも江戸物、特に捕物帳を、自分の中で「ミステリー」と分類しております。時々、とても読みたくなります。
登場する女性たちが生き生きと魅力的な「髪結い伊三次」は、好きなシリーズ物の一つです。
初めて読んだ「春風ぞ吹く」も好きですが、「聞き屋与平」も ちょっと変わった咄でした。
宇江佐さんの作品もまだまだ読んでいないものばかりです。これからも、たんぽぽ様お勧めの作品を教えて下さいね。
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初雪 (たんぽぽ)
2010-10-26 20:39:43
>パールさま
こんにちは。宇江佐真理さんファンがいてくださって、うれしいです。
どうも、ブログを見るような方は、時代小説を読む人は少ないようなので・・・。
真田太平記が終わったら、いよいよ「髪結い伊三次」に行ってみようかしらん。

こちらは今朝雪まじりの雨でした。
いっそ雪の方が濡れなくていいのですけどね。
でもこうなってしまった方が、家の中はしっかり暖房も入れて、快適なんですよ・・・。
それにしても、冬に向かうのはちょっと憂鬱です。
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