映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

Vision

2019年07月31日 | 映画(は行)

再生への祈り

* * * * * * * * * *


河瀬直美監督の生まれ故郷、奈良県でオールロケをしたという、
フランスと共同の異色作。



フランス人エッセイストで世界をめぐり紀行文を書いているジャンヌ(ジュリエット・ビノシュ)。
彼女は、“ビジョン”という薬草を探し求め、奈良、吉野の山を訪れます。
そこで彼女は山守の男・智(永瀬正敏)と出会う。
実は、山に暮らすアキ(夏木マリ)という老女が
その日、智にこの出会いを予言していたのでした。



1000年に一度姿を見せる幻の植物、ビジョン。
アキはジャンヌに問われても、ビジョンなど知らないというのですが、
どうも知っていそうな気配。

そしてある日突然、アキは姿を消してしまいます・・・。

山の静寂をそのまま写したような、静かな作品です。
時折現実の中に重なり合う男(森山未來)の幻影。
一体これは誰なのか、作中に説明はありません。
1000年に一度胞子を散らし、生き返りを図るビジョン。
そのように人の命も営みも、繰り返して行く。
死は消滅ではなく、新たな命を生み出すもの。



森のなかで静かに踊る夏木マリと森山未来の姿。
これこそが死を目前にした、去りゆくもののダンスなのではないかと思いました。
再生への祈りを込めたダンス。



私がぼんやり見ていたせいかもしれませんが、
結局の所、何がどうなって、誰と誰がどんなつながりにあったのかがよくわからない・・・。
でも謎は謎のまま、時の流れの中で繰り返されていく命と因果・・・。
そういうことが汲み取れればいいのかな・・・?と。
雰囲気のある作品です。

Vision (通常版)[DVD]
ジュリエット・ビノシュ,永瀬正敏
バップ

<WOWOW視聴にて>
「Vision」
2018年/日本・フランス/110分
監督・脚本:河瀨直美
出演:ジュリエット・ビノシュ、永瀬正敏、岩田剛典、美波、
森山未來、夏木マリ
森のなかでの迷子度★★★★★
満足度★★★★☆

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿