映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

わたし達はおとな

2023年01月15日 | 映画(わ行)

リアルなヒリヒリ感

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私の推し、藤原季節さん出演作品。

大学でデザインを学ぶ優実(木竜麻生)は、知人の演劇サークルのチラシ作成をきっかけに
直哉(藤原季節)と出会い、恋人関係になります。
ある日、自分が妊娠していることを知った優実。
でも、子どもの父親が直哉であるという確信がありません。
優実は悩みながらも、正直に直哉に打ち明けますが・・・。

優実の妊娠のもう1人の原因というのは、単に行きずりの男。
けれど、そうなってしまったのには直哉にも原因があるのです。
というのも、同棲を始めた直後に直哉はモトカノの元に戻ってしまい、
優実が捨てられてしまったから・・・。
そこで若干優実は自暴自棄になってしまっていたのですね。
しかしその後にまた、直哉が戻ってきたのです。

いやしかし、いずれにしても男の側に「避妊」の必要性を意識していないという
全く身勝手な振る舞いがあったことは確か。
そんな行為が結局は女の身も心もボロボロにしていくわけで・・・。

さて、直哉は自分の子どもではない可能性があると言われながらも、
優実に生むように言い、自分は演劇関係の道をあきらめて就職する、と言います。
ここまでは、なんとも優しい、頼りがいのある男。

だがしかし、自分でそう言っておきながら、
その後も彼の気持ちはぐらぐらと揺れ動くのです。
そもそも、彼がそんなことを言ったのは、以前に似た失敗経験があったから。

けれど、自分の子でなかったとしたら、
そもそも自分の夢をあきらめる必要があるのだろうか・・・とか、
いろいろ考えてしまうのはムリもないことかもしれません。
優実に胎児のDNA鑑定を受けようなどと言い出します。

ラスト近くの2人の言い争いのシーンが、なんともリアルなヒリヒリ感。
直哉の言葉は一見冷静で相手を思いやっているかのようでもあるのですが、
いや、やはりそれはどうにも利己的。
この勢いで語られたら、恐いです。
実の夫婦げんかをのぞき見ているような感覚です。

なんとも、息詰まる作品。

 

少し前に劇団「た組」加藤拓也さん作・演出で、藤原季節さんが出演する
「ドードーが落下する」という演劇を見ました。
珍しく、札幌でも公演があったのです。
加藤拓也&藤原季節さんのコラボ、今後も楽しみにしています。

 

<Amazon prime videoにて>

「わたし達はおとな」

2022年/日本/108分

監督・脚本:加藤拓也

出演:木竜麻生、藤原季節、菅野莉央、清水くるみ

 

ヒリヒリ度★★★★☆

対立度★★★★☆

満足度★★★★☆



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