映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

2017年08月24日 | 映画(あ行)
私にはTVドラマの改悪に思える。



* * * * * * * * * *

1993年、同名で放映された岩井俊二監督によるテレビドラマをもとにしています。
私、このドラマには痛く感動し(見たのは割と最近なのですが)、
ぜひこのアニメも見なくては!と思った次第。
公開初日、北海道もまだ夏休み期間中で若い人がいっぱいの劇場は、
ちょっと私には敷居が高かったのですが・・・。



海辺の町の夏休み。
花火大会の日。
登校日に久しぶりに会った中学生たちは
「花火は横から見たら丸いのか?平べったいのか?」
という話題で盛り上がっています。
なずなは、母親の再婚でこの日限りで転校しなければならないことになっています。
なずなに密かに思いを寄せる典道は、
なずなに「駆け落ちしよう」と誘われますが・・・。
典道の行動は裏目に出るばかりですが、
ある秘密の「玉」の力で、時間を巻き戻し、新たな行動を起こすことに・・・。



これは原作のドラマを知らないほうが良かった。
私にはどうしてもテレビドラマと弾き比べてしまって、
見劣りするところばかりが目についてしまいました。


原作では登場する少年たちは小学生です。
だから花火が丸いか平べったいか気になって、確かめるために「冒険」する。
そして、なずなは小学生にしては早熟。
ボーイたちはまだ子供で、なずなにはちょっとついていけない。
けれどなずなの半分大人の女性になりかけたところに
何やらムズムズした感情が湧き上がる。
こうした、思春期の入り口のほんのひと時を切り取った夏休みのできごとを、
素晴らしくみずみずしく描いているのがTVドラマでした。


ところが、このアニメではそうしたところはバッサリ・・・。
ファンタジー性があってより「アニメ」向きになっているというだけで、
思春期の感性を表現する作品ではないような・・・。
プールサイドに寝そべるなずなの首元をはうのはアリじゃなければいけません。
トンボが止まっているだなんて、問題外。



「君の名は」で、可愛らしいお目々ぱっちりキャラのいかにも今時アニメを少し見直したのですが、
これでは・・・。
あ~、なんだかひどい言い方ばかりになってしまいましたが、
まあ、TVドラマを知らない方なら、そこそこ楽しめるのではないかと・・・。
そうそう、風にそよぐ白い花の群れはとても美しい情景でしたが、
夏休みなのになぜ“ぺんぺん草”?
と思ったのですが・・・
なるほど、「なずな」だからですよね。
だからどうした、ってことですが。


でもぜひ、TVドラマ版を見てほしい・・・。
→「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」
2017年/日本/90分
総監督:新房昭之
監督:武内宣之
原作:岩井俊二
出演(声):広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子

満足度★★★☆☆


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