確かに生きていた実感
* * * * * * * * * *
江戸前期を代表する作家・井原西鶴。
彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。
一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。
傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、
『好色一代男』の朗読を聴いて、父への想いが変わり始める。
小説を読む歓びに満ちた、織田作之助賞受賞作。
* * * * * * * * * *
井原西鶴。
古典文学とくればほとんど馴染みも知識もない私ですが、
朝井まかてさんは好きなので、読んで見る気になりました。
本作、主人公は井原西鶴の娘、盲目のおあいです。
彼女の目を通して、江戸初期に活躍した井原西鶴の半生が描写されています。
おあいのお母さんは、盲目の娘が将来困らないようにと
大変厳しく調理や裁縫を教えこんだので、おあいの料理の腕前は一流の板前さん並。
季節ごとの庭の光景やそれに合わせた料理のことなどが細やかに描かれています。
さて、本作はそのお母さんが亡くなってしばらくしたあたりから始まります。
西鶴はもともと俳諧師で、
しかも息つく間もなく連想のままに句を連ねていく「矢数俳諧」で名前を上げていたのです。
なんと一昼夜で23,500句という記録があるそうで・・・。
まあだから内容はのレベルは想像がつきますが・・・。
そういうパフォーマンスが大きすぎて、俳壇の主流からは疎まれていたようです。
それで、次には「読み物」を書くようになります。
「好色一代男」「好色五人女」「日本永代蔵」「世間胸算用」。
名前だけは聞いたことがありますが、実際に読んだことがないのがお恥ずかしい・・・。
おあいは、はじめこんな父を嫌っていたのです。
手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。
弟二人はさっさと養子に出してしまうし・・・。
けれども次第に彼女が父を見る目が変わっていきます。
芯の強いおあいもステキですが、
何と言っても西鶴の人間味あふれる姿が力強く伝わります。
その昔、確かにこんな人物が毎日を生きていたんだなあ・・・と、
痛く実感させられました。
また、彼女の淡い恋の感情がいいんだなあ。
こんな花もあるから、楽しみながら読むことができました。
「阿蘭陀西鶴」朝井まかて 講談社文庫
満足度★★★★☆
阿蘭陀西鶴 (講談社文庫) | |
朝井 まかて | |
講談社 |
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江戸前期を代表する作家・井原西鶴。
彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。
一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。
傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、
『好色一代男』の朗読を聴いて、父への想いが変わり始める。
小説を読む歓びに満ちた、織田作之助賞受賞作。
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井原西鶴。
古典文学とくればほとんど馴染みも知識もない私ですが、
朝井まかてさんは好きなので、読んで見る気になりました。
本作、主人公は井原西鶴の娘、盲目のおあいです。
彼女の目を通して、江戸初期に活躍した井原西鶴の半生が描写されています。
おあいのお母さんは、盲目の娘が将来困らないようにと
大変厳しく調理や裁縫を教えこんだので、おあいの料理の腕前は一流の板前さん並。
季節ごとの庭の光景やそれに合わせた料理のことなどが細やかに描かれています。
さて、本作はそのお母さんが亡くなってしばらくしたあたりから始まります。
西鶴はもともと俳諧師で、
しかも息つく間もなく連想のままに句を連ねていく「矢数俳諧」で名前を上げていたのです。
なんと一昼夜で23,500句という記録があるそうで・・・。
まあだから内容はのレベルは想像がつきますが・・・。
そういうパフォーマンスが大きすぎて、俳壇の主流からは疎まれていたようです。
それで、次には「読み物」を書くようになります。
「好色一代男」「好色五人女」「日本永代蔵」「世間胸算用」。
名前だけは聞いたことがありますが、実際に読んだことがないのがお恥ずかしい・・・。
おあいは、はじめこんな父を嫌っていたのです。
手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。
弟二人はさっさと養子に出してしまうし・・・。
けれども次第に彼女が父を見る目が変わっていきます。
芯の強いおあいもステキですが、
何と言っても西鶴の人間味あふれる姿が力強く伝わります。
その昔、確かにこんな人物が毎日を生きていたんだなあ・・・と、
痛く実感させられました。
また、彼女の淡い恋の感情がいいんだなあ。
こんな花もあるから、楽しみながら読むことができました。
「阿蘭陀西鶴」朝井まかて 講談社文庫
満足度★★★★☆
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