映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅

2019年06月10日 | 映画(か行)

“今”の世界と私達の有りようを描く

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世界30カ国で販売された人気小説
「IKEAのタンスに閉じ込められたサドゥーの奇想天外な旅」を映画化したもの。

インドの貧困地域で育った青年アジャ。
路上で手品の見世物をしたり盗みをしたり・・・たくましく成長しています。
ある時、母の死をきっかけに、憧れのインテリアショップのあるパリへ。
ショップ閉店後の店内、売り物のクローゼットに入り込んで一夜を明かそうとしたら、
そのクローゼットがそのままトラックで搬送されてイギリスへ!
その後アジャはヨーロッパ各地を点々とし、様々な人と出会いますが・・・。

少年時代のアジャは、ある日突然自分の家が貧しい事に気がつくのです。
世の中には貧乏人と裕福な人がいて、たいてい貧乏人は一生貧乏人のまま・・・。
それも、自分がどんな家に生まれたかという運次第・・・。
なんとかお金持ちになれないものか・・・と、彼は思うわけですね。



ところが彼は旅の途中で難民たちと出会います。
生まれ育ったアフリカの地を離れて、命からがらたどり着いたヨーロッパ。
彼らは、アジャ以上に何も持っておらず、もはや帰る場所もないのです。
アジャはしばし彼ら難民とともに収容施設で生活せざるを得なくなってしまうのですが、
そんなときでも彼らはともに歌を歌ったり、
あきらめの中でも何故かカラリとしている・・・。



その後アジャは思わぬところで大金を手にします。
そしてそんなときにまた、彼ら難民と再会することになる。
その時のアジャの行動がなんともイカス!!
「最も役に立つお金の使い方大賞」というのがあればアジャにあげたいですね。


そしてこんなストーリーの中に、実はラブスト―リーもあるのがナイスです。
世界は広いようで実はそんなに広くはない今の世界。
SNSでも繋がれるけれど、でも実際に「出会う」ことの素晴らしさも、本作は言っているようです。
まさに、“今”の世界の有りようと、私達の有りようを説きながらも
小難しい説教臭さはありません。
底抜けに楽天的なインド青年が主役なので、
メッセージ性の高い作品ながらすごく楽しく見ることができました。
お約束どおり歌と踊りもあり、特にイギリスのお役人が
突然歌い始めるミュージカルめいたシーンもおかしい!!

アジャが少年のころ監獄に入れられ、そこで経験したこともまた素晴らしいのでした!!

<シネマフロンティアにて>
「クローゼットに閉じ込められた僕の奇想天外な旅」
2018年/フランス・アメリカ・ベルギー・シンガポール・インド/96分
監督:ケン・スコット
出演:ダヌーシュ、ベレニス・ベジョ、エリン・モリアーティ、バーカッド・アブディ、ジェラール・ジュニョ
バイタリティ:★★★★☆
満足度★★★★★

 



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