映画と本の『たんぽぽ館』

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おらおらでひとりいぐも

2021年06月15日 | 映画(あ行)

ひとりで行くこと

* * * * * * * * * * * *

原作本、読みたかったのですが読み損ねていまして、先に映画視聴となりました。

 

75歳桃子(田中裕子)(昭和の桃子=蒼井優)は、
夫に先立たれ、ひとり孤独な生活を送っています。
毎日単調な日々ながら、図書館に通い地球の歴史に関する本を読みあさり、
46億年の歴史に関するノートを作っています。

そんな彼女の身の回りに、彼女の「心の声」たちが集まり始め、
何やら賑やかな毎日となっていきます。

桃子はよくわからない人との結婚がイヤで、故郷岩手を飛び出して東京へ。
そして、恋愛結婚をして2人の子供に恵まれました。
まずまず、幸せな生活を送っていたわけです。
しかし夫に先立たれ、子どもたちとも疎遠。
突然訪れた孤独に戸惑っているように見受けられます。

そんなところへ現れた、変な男たち。
濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎が演じます。
彼らは言う「おらだば、おめだ」。
桃子がとうに捨て去った故郷の訛り丸出し。
これは妄想か、それともボケのはじまりか・・・? 

 

桃子は自分でもよくわからないけれども、実害はないようなので、
彼らと付き合うことにする。
桃子は自分自身の記憶を確かめるように、
彼らに自分の若い頃の夫・周造(東出昌大)との出会いや生活のことを思い出し、語っていきます。

夫は別に浮気もせず、尊大な亭主関白でもなく、本当に好きで結婚した大切な人だったと思う。
けれど、彼女は実は思っているのです。
夫の死で、自分はほんの少しホッとした気もしている、と。
本当は自分は自由になりたかったのだ、と。

東京に出てきた当時、食堂の店員として少し働いていたくらいで、
結婚してからはずっと専業主婦。
常に妻とか母という立場にあったわけで・・・。

今彼女は「自分自身」であることを取り戻しているのです。
それは孤独ではあるけれど、大切なもの。
こうして自分の分身たちと会話しながら、
残りわずかな人生を生きるのもいいんじゃないかな・・・と思えるまでのストーリー。

冒頭、なんとも壮大な46億年の地球の歴史がアニメで表わされています。
それは桃子の趣味ということであったのですが、
なぜ地球の歴史なのか。

それは46億年という気の遠くなる長い時をかけて、
命が誕生し受け継がれて、今生きているものたち、そして自分がいるから。
だから一つ一つの命はとても大事なのだということ。

桃子と同じく老境にある私には、とても心にしみるストーリーでありました。
でも、同じように早く「自由」になりたい、なんて思っちゃヤバいですね・・・

 

<Amazonプライムビデオにて>

「おらおらでひとりいぐも」

2020年/日本/137分

監督・脚本:沖田修一

原作:若竹千佐子

出演:田中裕子、蒼井優、東出昌大、濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎

 

老境度★★★★★

満足度★★★★.5



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