映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

私が、生きる肌

2013年01月24日 | 映画(わ行)
愛なのか。憎しみなのか。



            * * * * * * * * *

ペドロ・アルモドバル監督作品ではありますが、
これまでとはちょっと様子が違います。
アルモドバル監督とくれば、まずは情念・・・というのが私の印象。
しかし今作はもちろん、人の情念なくしては語れませんが、
かなり猟奇的といいますか、恐ろしくもあり、官能的でもあります。



形成外科医であるロベル・レガルは、画期的な人工皮膚の研究をしていますが、
なぜか自宅に監禁した美女で、その人体実験を行なっているのです。
その人工皮膚というのも、遺伝子操作を利用した倫理規定に抵触する禁断の実験。
彼には自動車事故で皮膚が焼けただれた妻がいて、
元々は、今はなきその妻のために始めた研究であったのでしょう。
しかし、いったいこの女性は誰なのか? 
私たちは次第にその戦慄の真実を悟っていきます・・・。



アントニオ・バンデラス演じる医師は、常に冷静なのですが、
次第にマッド・サイエンティストの様相が見えてきます。
彼の胸のうちにあったのは、もともと復讐。
しかし、終盤ではほとんどそれがわからなくなってきますね。
愛なのか、憎しみなのか。

一方、悲劇の女性は、
誰も踏み込めない心のなかの自分を保つことを日々自分に言い聞かせ続けていた。
加害者は自分の立場を当然と思い、自分の罪をじきに忘れてしまうけれども、
虐げられた側は、決してそれを忘れない。
そういう真理はあると思います。

それにしても、ちょっとゴクリと生唾を飲んでしまうようなシーンあり。
強烈でした・・・。



レガル医師宅に飾られた多くの絵画が印象的です。
女性の裸体を描いたのもが多いのですが、
それは写実的なものではなく、近代的にデフォルメされたもの。
(不勉強で、誰の絵とも言えず、すみません・・・)
とても印象的です。
冒頭、監禁された女性のシーンでは、まるでダリの絵のようだと、私は感じましたが・・・。

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「私が、生きる肌」
2011年/スペイン/120分
監督:ペドロ・アルモドバル
原作:ティエリー・ジェンケ
出演:アントニオ・バンデラス、エレナ・アナヤ、マリサ・パレデス、ジャン・コルネット、ロベルト・アラモ

官能度★★★★☆
衝撃度★★★★★
満足度★★★★☆


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