映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「真田太平記(1)天魔の夏」 池波正太郎 

2010年09月20日 | 真田太平記
サナダ・サーガの開幕

真田太平記(一)天魔の夏 (新潮文庫)
池波 正太郎
新潮社


             * * * * * * * *

えーと、珍しいですね。時代物。
イヤ、私の時代物は宇江佐真理さん専門なんですけど、
これは時代物というよりは歴史物ね。
なぜ今これなのかというと・・・話せば長いことながら、
まあ、近々長野に旅することになりまして。
どうせならその近辺の歴史を知っていたほうが楽しいだろうと思ったわけです。
まあ、詳しい事情はまたそのうちお話しできると思います・・・。
そうなの・・・? でもこれ、すごく長いのでしょう。
はい、全12冊。実はある方から貸していただきました。
それでもって、これ、私たちの"ぴょこぴょこシリーズ"で、いいんでしょうかね?
はは・・・。いいんじゃないですか。
クリント・イーストウッドはもうすぐ終わりそうだし。
グイン・サーガを一冊ずつやってたこともあるのだし。
そうだね。これ言ってみたらサナダ・サーガだよね。
おお、いいね、それ。
ではでは、皆さんお立ち会い。
サナダ・サーガの始まり始まり~!!



さて、まず1巻目。状況説明の部分が多くなってしまうのは仕方ないけどね。
時は天正10年(1582年)。
武田家の滅亡から始まります。
武田勝頼が織田・徳川連合軍に倒されたというところ。
真田家はこの武田家の方に付いていたんだよね。
そうです。真田昌幸試練の時。
戦国時代のこの頃、各地の武将は誰の味方に付けば自分の家を守っていけるのか
・・・そういう判断が非常に重要だったわけだね。
この時は、主家武田が織田に敗れたので、そのまま織田家に従うことになったわけだ。
ところがご存じの通り、明智光秀の裏切りによって織田信長が死去。
・・・という下りまでがこの巻の背景ということですね。
はい。それでいよいよご紹介ですがこの真田昌幸には二人の息子がいまして、
長男、真田源三郎信幸(のぶゆき)17歳と 
次男 真田源二郎信繁(後の幸村)16歳。
何故に長男が源三郎で次男が源二郎なのか・・・、それは後に分かってきますよ。
そして、昌幸の正室、山手殿。
この夫婦関係、親子関係がどうもぎくしゃくなんだよね。
何かある。この巻ではそれを匂わせておいて、答えは次巻にあるのだけれど・・・。
こういうところが面白いよねえ。
昌幸は端から見ても解るくらい次男ばかりをかわいがり、長男を疎んじているんだ。
そして、まあ当時のことだから奥さんとは政略結婚で、これが全然そりが合わない。
こういったところが今後の様々な展開に影を落とすということになりそうなんだね。
そうだね。でも、気持ちがいいのはこの兄弟。
性格は別々だけれどお互いを信頼し合っていて、それぞれ頭も良く魅力的。
これですよ、これ。主人公はやっぱり魅力がないとね。


この本は、武田家に仕える足軽の向井佐平次という青年が、瀕死のところを真田の草の者(忍者)に救われるというところから始まるんですよ。
彼はその後、真田幸村に仕えることになる。
その一番始めの出会いのシーンが印象的なんだな。

傷を癒すために佐平次が温泉につかっている。
すると、気がつかないうちに見知らぬ男が一緒の湯につかっていて、声をかける。
なんとそれが真田幸村で、彼はお供もつれず単身でやって来ていた。
問われるままに、戦いで傷を受けたことなど話すと
「よう生き残れたな。めでたい、めでたい」などという。
実は幸村の方が年下なのですが、身分の高い者にこのように親しくで声をかかられ、
ねぎらいの言葉をかけられたので急に泣けてきてしまう佐平次。
そこで彼は幸村に気に入られて、仕えることになるんだね。
しかも、そのとき感激のあまり、とても長く湯につかっていたので、湯あたりを起こして倒れてしまうというおまけ付き。
うん、いいシーンでした。
こんな風に登場人物が魅力的に書かれているので、長い物語も全然飽きないんだね。
はい、こんなわけで、この先もたっぷり楽しめそうです。
お楽しみに~。


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