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人間失格 太宰治と3人の女たち

2020年10月18日 | 映画(な行)

ダメ男の執念

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本作は、太宰治の小説「人間失格」の映画化ではなくて、
その誕生秘話とでも言いますか、
「人間失格」執筆までの太宰の周辺を、彼を取り巻く3人の女性たちとともに描き出します。

1964年、太宰(小栗旬)は身重の妻・美知子(宮沢りえ)と二人の子どもがいながら、
彼の取り巻きの一人・靜子(沢尻エリカ)と関係を持ちます。
そして彼女の日記を元に「斜陽」を生み出すのです。
「斜陽」はベストセラーとなり、社会現象にまでなります。
またそんな一方、未帰還の夫を待つ美容師・富栄(二階堂ふみ)との関係に溺れていく太宰。

太宰はそれ以前に2人の女性と恋仲になり、心中を図っています。
相手の女性は亡くなり、自らは生き残っている・・・。
そんなことを繰り返しているわけです。

酒、睡眠薬、女に溺れ、おまけに結核の病。
心も体もボロボロ。
そんなになりつつも、そのことさえ糧にして小説にしてしまう。
まさに“人間失格”のダメ男でありながら、
小説=芸術にかける執念、それだけが彼を生かしているようです。

一見女をもてあそぶいい加減な男と、見えながら、
実は女の方はもっとしたたかで、結局太宰が女たちに翻弄されているのですね。
太宰にはそんな自分もちゃんと見えている。
そういう複雑さが、小栗旬さんの演じる太宰にはしっかり表れていたと思います。

3人の女たちがまた、それぞれの女優さんにピッタリで、
豪華競演になっていて、すごく演じ甲斐があったのではないかと思います。

<WOWOW視聴にて>

「人間失格 太宰治と3人の女たち」

監督:蜷川実花

脚本:早船歌江子

出演:小栗旬、宮沢りえ、二階堂ふみ、沢尻エリカ、成田凌、瀬戸康史、千葉雄大

 

3女優競演度★★★★★

満足度★★★.5

 



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