映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

17歳の肖像

2010年05月18日 | 映画(さ行)
幸せに近道はない



           * * * * * * * *

この作品、まずきちんと舞台となる時代を認識しておかないといけませんね。
1961年、ロンドン郊外。
昭和30年代ですね。
オックスフォード大学を目指す優等生ジェニー。

彼女は、ふと知り合った倍も年上の男性デビッドと恋に落ちます。
いかにも世慣れて、生活にもゆとりのある頼もしい大人の男性。
彼女にはそう映ったのでした。
それに引き替え、同じ年のボーイフレンドのなんと子供っぽいこと!
これまではひたすら勉強しかない、つまらない毎日と感じていたのですが、
コンサートやバーに連れて行ってもらい、
刺激的な大人の世界をかいま見てすっかりのぼせ上がってしまうのです。
どうにも、オバサンとしては、はじめっから危なっかしくて見ていられませんでした。
そもそも高校生の女子を夜連れ回そうなんて、魂胆見え見えじゃありませんか!!

しかし、これがまたやはり時代性もあるのでしょうね・・・。
当時では日本も変わらなかったと思いますが、17歳はもう結婚適齢か・・・。
男性の方の年などさほど問題ではなかったのでしょう。
そして、女性の幸福は結婚、という考えがまだまだ根強かった。
ジェイン・オースティンの時代とさほど変わりませんね・・・。


ジェニーは独身の女教師をほとんど軽蔑して見ていました。
こんな退屈な仕事をいつまでも続けて行かなくちゃならないなんて・・・というように。
今なら女性の自立は当たり前ですが、当時ではそうも行かなかったのでしょう。
だから、まあ、ジェニーの言動も無理のないことで、
多めに見ようかとは思うのですが・・・。
結婚イコール進学中止。永久就職。
このように短絡してしまうのは、私にとっては耐えられません!!
だから、この時代のことだ・・・と、自分に言い聞かせて、
耐えながら見たというのが正直なところです。
今の若い女性がこのジェニーに共感できるとしたら、私はがっかりです。
(同い年の男の子は子供っぽくてイヤ、という部分ならわかりますけど)

で、ストーリーはともかく、
キャリー・マリガン、あのヘアスタイルと服装のためか、
オードリー・ヘップバーンを思い出してしまいました。



これは、私の思い過ごしでなく、ちまたでもささやかれているようですが・・・。
ま、辛口のことを言えば、やっぱりオードリーには及ばないと思います。


あの父親も、やな感じでしたね。
なにかというと、高い学資を出して、教育を受けさせたと恩に着せて。
将来のための投資だとか。
チェロなんか受験に役立たないから練習しなくていいとか。
わ~、こすい。
今の子なら家出ものだ。
まあ、自分が学が無くて苦労した裏返し、
イギリスの階級社会という伝統的問題も背景にはあり・・・。
と、これも、時代を自分に言い聞かせないと、また腹が立ってくるという、
やっかいな作品なのでした。



2009年/イギリス/100分
監督:ロネ・シェルフィグ
出演:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、アルフレッド・モリナ、ロザムンド・パイク、オリビア・ウィリアムズ


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