映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

シュガー&スパイス 風味絶佳

2019年01月16日 | 映画(さ行)

男に必要なのは、優しさとタフさ。

* * * * * * * * * *

東京、福生市。
高校を出て“とりあえず”ガソリンスタンドで働いている志郎(柳楽優弥)。
新しいバイトとして入ってきた女子大生・乃里子(沢尻エリカ)と出会い、
やがて親しくなっていきます。
乃里子は、元カレ矢野のことを忘れられないでいたのですが、
志郎の優しさに安らぎを覚えるようになっていきます。
志郎は「あなたが19歳になったら一緒に暮らそう」という乃里子の言葉を信じていましたが・・・。

志郎は別に勉強ができないわけでも、学費を出してもらえないほどの貧乏でもありません。
ただ、なんとなく流れに沿って大学へ行く必要性を感じていなかった。
真摯に自分のことを考えるヤツなのですね。
それはおそらく彼の祖母(夏木マリ)の影響でもありましょう。
若い頃、目の青い人と恋をして、そして別れたという過去を今も引きずり、
実は密かに彼がいつか帰ってくるのではないかと思いつつ年令を重ねてしまったという祖母。
彼女の思考は日本人離れしていて自由で奔放です。
今もバーを営んで若い恋人を持ちながら生活している。
そんな彼女は、両親の反対を押して、
進学せず“ガス・ステーション”で働いている志郎に味方してくれているのです。


まだ18歳の志郎にとって、ちょっとだけ年上の乃里子が初恋。
だがしかし・・・。
まあ、初恋はたいてい失恋に終わるものです・・・。
はじめ二人を応援していた祖母も、恋破れた志郎には、こんなふうにいいます。

「試着して服が合わなかったら、買わないでしょう。
あんたは、返品されたんだよ・・・。」

あんまりないいようではありますが、でもこんなことも。

「男に必要なのは、優しさとタフさ。
あんたは優しいだけで、まだタフさがない。」

確かにね・・・。
本当の大人の恋はままごととは違う、と。

2006年作品で、あの「誰も知らない」の柳楽優弥くんの硬質な少年っぽさがまだ残る、柳楽優弥さん。
これもまた一つの通過点で、
よくぞこの時を作品として残してくれました!!といいたくなる、貴重な作品であります。
確かに、このときの柳楽優弥さんは「優しい」イメージ。
そして、今の柳楽優弥さんは、見事にタフさをも身につけているように思えるのですね。
そんなことが感じられる、まさに今見る価値大の作品。


志郎の悪友の一人が濱田岳さん。
ガソリンスタンドの所長が大泉洋さん、
というところもナイス!

シュガー&スパイス 風味絶佳 [DVD]
柳楽優弥,沢尻エリカ,大泉洋,チェン・ボーリン,木村了
フジテレビ




<WOWOW視聴にて>
「シュガー&スパイス 風味絶佳」
2006年/日本/125分
監督:中江功
原作:山田詠美
出演:柳楽優弥、沢尻エリカ、夏木マリ、大泉洋、濱田岳

初恋の切なさ度★★★★☆
初々しさ★★★★★
満足度★★★★☆

 



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