緊張に神経をすり減らす日々
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キューバ危機の舞台裏で繰り広げられた実話を元にしています。
1962年、米ソの対立が頂点に達し、キューバ危機が勃発。
英国人セールスマンのグレヴィル・ウィン(ベネディクト・カンバーバッチ)が、
これまで全くスパイとしての経験がないにもかかわらず
CIAとMI6の依頼を受けてモスクワへ向かいます。
ウィンは、これまで仕事で東欧へは幾度も足を運んでいて、
ソ連へ入ることもそう不自然ではない。
そしてこれまでCIAやMI6とのつながりもなかったことが逆に有利だと考えられたのです。
そしてソ連では、GRU(ソ連軍参謀本部情報総局)の高官オレグ・ペンコフスキーが国に背き、
ソ連の機密情報をウィンに渡す役を請け負います。
2人は表向き商用を装い、密かに機密情報の受け渡しをして、
ウィンは情報を西側へ運び続けたのでした。
その中にはソ連の核爆弾の情報など、非常に価値の高いものが含まれていたのです。
それにしても、ソ連側の監視の目もかなり厳しく、万が一ことが明るみに出ればまさに命がけ。
家族にも塁が及びかねません。
緊張の連続で、ウィンは人柄が変わったようになり、家では妻に浮気を疑われる始末。
夫がソ連へ行った後はいつも様子がおかしい・・・。
そのことに妻は気づいてはいたのです。
そしてまた、そんな緊張感を共有したウィンとペンコフスキーの間には友情が芽生えていきます。
互いを信頼しなければ乗り越えられない、
そうした感情がますます2人の友情を堅固なものにしていくのでしょう。
終盤、2人の動きが悟られている気配が漂い始め、
いよいよ任務を終了しペンコフスキーの亡命目前という時期に、
2人でバレエを鑑賞するシーンがあります。
実際にその舞台のできも良かったのでしょうけれど、
この緊張感の中で2人の感情も頂点に達し、感極まってステージに喝采を送る、
そのシーンが印象的でした。
言葉で確認しなくても通じ合う。
その時2人はそう確信していたのです。
その後の展開はドキドキハラハラ・・・、そして・・・。
まさか、そうだったんですか。
史実の重さをずっしりと感じます。
ベネディクト・カンバーバッチのやつれように、俳優の意地を見ました。
「クーリエ 最高機密の運び屋」
2020年/イギリス・アメリカ/112分
監督:ドミニク・クック
脚本:トム・オコナー
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、メラーブ・ニニッゼ、レイチェル・ブロズナハン、
ジェシー・バックリー、アンガス・ライト
緊迫感★★★★★
友情度★★★★★
満足度★★★★☆
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