映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

愛なのに

2023年05月07日 | 映画(あ行)

一方通行の愛の果て

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古本屋の主である多田(瀬戸康史)。
ある日、店に通う高校生・岬からいきなり求婚されてしまいます。

多田は、忘れられない女性がいることを理由にことわります。
その、多田が忘れられない女性・一花(さとうほなみ)は、
目下、婚約者との結婚の準備に追われています。
そしてまた、その婚約相手の亮介(中島歩)は、
ウェディングプランナーの美樹と男女の関係になっている・・・。
さて、この一方通行の愛の交差した関係は、どのように行き着くのか・・・?

全体に大人の風味ではありますが、
岬のパートはさすがに女子高生なので、ピュアです。

いきなり「結婚して」とは言ったものの、
彼女はそういう体の関係を望んでいるのではなくて、
いつも共に近くにいたいと思う、そういうことを指しているのです。

そしてもちろん多田も、女子高生に手を出すつもりもなく、
結婚を承知したりもしません。
ごくまっとうな成人男子なのであります。
30歳くらいとしても古書店の主としてはかなり若いですし、
私でも瀬戸康史さんが店番をしていたりしたら、
「結婚してください」と言いたくなるかも・・・。

まあそれはともかく、ここの部分まではピュアなラブストーリーかと思ったのですが、
一花と亮介の部分で一気に生臭い話になっていきます。

二人がお世話になっている結婚式場のウェディングプランナーの女性と、亮介ができている・・・。
ひどすぎる裏切りです。
しかしその女性の方はこんなことには慣れっこで、
単なる遊びと割り切っているのです。

このことを気づかないままならよかったのですが、
ある時一花は知ってしまった・・・。
この婚約者の裏切りをどうしようか・・・と、
一花は複雑な思いのはけ口を探すのです。

人を思う「愛」と、体のつながりとは、結局別物であるらしい。

それはやはり一対一の、人と人との関係性の中で築かれていくもの。
その愛のあり方も様々。
答えはないのかも知れませんね。

 

<Amazon prime videoにて>

「愛なのに」

2022年/日本/107分

監督:城定秀夫

脚本:今泉力哉、城定秀夫

出演:瀬戸康史、さとうほなみ、河合優実、中島歩、毎熊克哉

 

愛の一方通行度★★★☆☆

満足度★★★.5