映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

竜とそばかすの姫

2021年07月19日 | 映画(ら行)

魅了される

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細田守監督の最新作、初日に見ました! 
あと一週間遅れだと夏休みに突入し、混雑が予想されると思ったもので・・・。

 

舞台は高知県の自然豊かな田舎町。
そして、ネット上で全世界に圧倒的な広がりを見せている仮想世界「U」もまた、舞台です。
この関係、細田守監督の「サマーウォーズ」にもよく似ていて、
その大ファンである私は、それだけでもう、心ときめかずにはいられません。

17歳高校生すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、父と暮らしています。
母と一緒に歌うことが大好きでしたが、
母の死をきっかけに歌うことができなくなってしまっています。

あるときすずは、全世界で50億人以上が集う仮想世界「U」に参加。
「ベル」という<As(アズ)>(アバター)で「U」の世界に足を踏み入れます。
この世界ですずは、「ベル」の姿で自然と歌うことができ、
自作の歌を披露するうちに世界中から注目される存在に。
そして、「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在と出会う―――。

これは、「美女と野獣」が下敷きになっているのですね。
乱暴な振る舞いにお尋ね者のようになっている竜の、孤独を知るベルは、
なんとか彼を救いたいと思う・・・。

美しく豪華なビジュアルと歌に、なんだか泣けて来ました・・・。

ちょうどその日の朝にテレビ番組でベルの衣装が実際に作られて、
作画の参考にされていたというのを見ていまして、
そのベルの“バラの衣装”がなんともステキでした。

ただ、竜の正体についての部分が、なんだか尻つぼみの感なのが残念かな?
アザがあるというところで、私はその境遇がなんとなく想像付いてしまいましたが。
でも、ベルは「U」の世界ではスーパースター、しかしその本体・すずは地味な女の子。
ということからみると、竜の正体もまた、どこにでもいそうな地味な人物、
というのは自然な流れか・・・。

Asは、単にユーザーの希望する人物造形となるわけではなく、
ネット上のアバターでありながら、現実の自分を多く反映している
というところが興味深いのです。
そうであるなら、プライバシーに関わるセキュリティもかなり重要になってきますが。

悪意のコメントや、炎上。
現実の世界以上に「U」の世界では人より目立つことにリスクがあるのです。
でも、現実世界ではしっかりすずを守ろうとする人々がいる。
どんなにその仮想空間が巨大になろうとも、
仮想世界と現実という2つの世界で、引き裂かれることなく、
周囲の人々の力を得ながら成長していく主人公の姿をこそ、
監督は捉えたかったのでしょう。

やや見る年代層を選ぶ前作「未来のミライ」よりも、本作の方が万人受けしそうです。

 

事前リサーチほとんどナシに見た私、
声の出演者を推量しながら見ていました。

成田凌さん、染谷将太さん、
役所広司さん(お父さんとしての声にしては老けすぎ!)はわかったのですが、
佐藤健さんがわからなかった! 
クヤシイ・・・。
それとおばさま方の合唱隊も、豪華な方々だったんですね!

 

<シネマフロンティアにて>

「竜とそばかすの姫」

2021年/日本/121分

監督・脚本:細田守

出演:中村佳穂、成田凌、染谷将太、玉城ティナ、森山良子、宮野真守、役所広司、佐藤健

 

ビジュアルと歌の美しさ★★★★★

仮想空間の魅力度★★★★☆

満足度★★★★☆