記憶と真実はベツモノ
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脳の研究を行うバイテック社で働く崇史(玉森裕太)と智彦(染谷将太)は、
幼なじみで親友でもあり、よきライバルでもあります。
ある日、智彦が崇史に紹介したいと麻由子(吉岡里帆)という女性を連れて来るのですが、
それは、崇史が学生時代密かに思い続けていた女性でした・・・。
ところが次の瞬間、崇史が目を覚ますと、麻由子が崇の恋人として朝食を作っているのです。
どうやらおかしな夢を見たらしいと、崇史は思うのですが・・・。
日々、違和感が大きくなっていく・・・。
本作、麻由子が親友智彦の恋人である世界と、崇史自身の恋人である世界、
二つの世界が交互に描写されています。
それで、表題のとおり、二つの異なる平行世界の物語なのだろうと思う訳ですが・・・。
本作はそうではなくて、つまり「記憶」の問題なのでした。
私たちは自分の記憶こそが真実と思って暮らしているわけですが、
しかし、人の記憶など当てにならないものなのです。
自分の記憶と現実はベツモノと思った方がいい。
そしてまた、その記憶を他者が作り替えることができたとしたら・・・。
記憶=個人の真実だとしたら、その者の現実は作り替えることができる
ということになってしまいます。
まさに、個々にとっての「平行世界」が存在するようなものですね。
一体真実はどちらなのか、麻由子の心は本当はどちらにあるのか、
そうした興味で、最後まで目が離せない作品なのでした。
<WOWOW視聴にて>
「パラレルワールド・ラブストーリー」
2019年/日本/108分
監督:森義隆
原作:東野圭吾
出演:玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太、筒井道隆、田口トモロヲ
幻惑度★★★★☆
満足度★★★.5