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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「夜また夜の深い夜」桐野夏生

2017年11月04日 | 本(その他)
ストーリーは面白いけれど、何を言いたいのだか・・・?

夜また夜の深い夜 (幻冬舎文庫)
桐野 夏生
幻冬舎


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友達に本当の名前を言っちゃだめ。
マイコにそう厳命する母は整形を繰り返す秘密主義者。
母娘はアジアやヨーロッパの都市を転々とし、
四年前からナポリのスラムに住む。
国籍もIDもなく、父の名前も自分のルーツもわからないマイコは、
難民キャンプ育ちの七海さん宛に、初めて本名を明かして手紙を書き始めた。
疾走感溢れる現代サバイバル小説。

* * * * * * * * * *

国籍をもたず、アジアやヨーロッパの都市を隠れるように
転々と移り暮らしているマイコという少女が主人公の異色作。
彼女は母と二人暮らしですが、その母が何らかの事情で日本にいられなくなり、
何かから逃げているようなのです。
度々顔を整形し、元の顔がわからないほど。
そんな母とスラムに隠れ住み、ほとんど学校へも行かず、友人もいない。
今はナポリに住むマイコがついに耐えきれず家出。
今までの生活も十分悲惨ではあったけれど、
一人で生きなければならないマイコは、
更に厳しい状況を生き抜かなければならなくなります・・・。


家出をしたマイコが出会った密入国の少女2人の壮絶な事情や、
マイコ自身の父らしき人物の恐るべき正体・・・、
目をみはるような展開に引き込まれます。


ということで、題材の特異性もあって大変面白くはあった。
だけれども、なぜでしょう。
読み終わったあとで私の中に何も落ちてこないのです。
ラストが良くないのかなあ・・・。
けれど、他にどのようなオチを付けても納得の行くものになりそうにありません。
残念ですが、何を訴えたいのかよくわからない作品となってしまっています。
マイコがせっせと手紙を出していた相手、七海も結局正体不明。
私はこの七海こそが実はマイコの母であった、などという展開を想像していたのですが、
全然違いました・・・(^_^;)

「夜また夜の深い夜」桐野夏生 幻冬舎文庫
満足度★★☆☆☆