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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「ベルばらKids3」 池田理代子

2008年08月08日 | コミックス

「ベルばらKids3」 池田理代子 朝日新聞出版

早くも第3弾となりました。
3頭身のオスカルとアンドレ。
相変わらず、水増し装丁ですけれど、それはもうあきらめました・・・。
今回は、オスカルとアンドレの絡み合う、クライマックスシーンのパロディなどもありまして、結構楽しんでしまいました。
リアル連載時と、その後単行本化されてからも、ずいぶんしつこく読み込みましたので、
たいていのシーンは、ああ、あれね・・・と、思い出せちゃうのです。
夢みる女子高生でありましたんですよ、これでも・・・。
まあ、今、同じシーンを見ても、結構胸がときめいたりもするのですが。

このコミックは、次第に、時代も場所も限定無し、何でもありになって来ています。
国王様は、日本の大相撲の大ファンだし、
オスカルとアンドレは地下にもぐる、などと言って、デパ地下に現れたりする。

悲劇に終わる物語をここら辺で憂さ晴らし、ですね。
まあ、今後も長く続いてくれるとありがたいです。

満足度★★★★


「ヒメママ 2」 玖保キリコ 

2008年08月06日 | コミックス

「ヒメママ 2」 玖保キリコ マガジンハウス

相変わらずわがままいっぱいのリサさんです。
しかし、これだけ自己主張が強く生きていけるのはうらやましいし、どこか憎めないのもまたよいですね。

この本では、妹ルリの嫁ぎ先、フランスの富豪の邸宅にしばらく滞在します。
このルリさんも、なかなか人格ができていて、
多分、子供時代はいつも姉に虐げられていたと想像されるのですが、なかなかの姉思い。
彼女の性格を知りながらも、このまま、パリで一緒に過ごして欲しいなどと思うとは、全く人物ができている!
リサの長男のお嫁さんであるハナさんも、実に根気良くお義母さんと付き合っているし、
リサさんの周りには不思議と人格者が集まってくる。
・・・というよりは、できた人物しか残らない?

ルリの家には運転手さんやメイドさんなど、使用人が大勢いるのですが、
リサは名前が覚えきれないので、女はマリー、男はジャンと呼ぶことにすると宣言。
こんなところでも、わがままいっぱいなのですが、
彼女が帰国する時には、一人ひとり名前を言ってみせる。
そうすると、それだけでもう、みんな大感激。
・・・お得な性格です。
これって、生まれながらのお姫様って感じですね。まさに。

さて、気になるのは、リサさんの夫ってどんな人だったのだろうということで・・・。
本の中にはぜんぜん出てこないのですが、
さぞかし、包容力がある、心の広い人・・・? 
あ~、巻頭のリサのプロフィールにありました。
離婚暦1回。
・・・やっぱり、普通の人だったみたいですね・・・。

満足度★★★★


「舞姫テレプシコーラ第2部1」 山岸凉子

2008年08月03日 | コミックス

「舞姫テレプシコーラ第2部1」 山岸凉子 メディアファクトリー

本当に第2部が出るのかどうか、実は半信半疑だったんですが、出ましたねえ、ちゃんと。
あの、1部のラストにはずいぶん、泣かされましたが。
あれから数年立ちまして、篠原六花(ゆき)は高校1年16歳。
亡き姉の夢をついで、バレエを続けフランスのローザンヌコンクールに挑戦しようとするところ。

山岸凉子氏のバレエ漫画といえば、やはり未だに「アラベスク」 のイメージは強いですが、こちらも、手塚治虫文化賞漫画大賞を受賞するなど、彼女の代表作の一つになりつつあります。
バレエ界を取り巻く今日的問題、
費用のこと、摂食障害のこと、スポーツ医療のこと、学業との両立のこと・・・、
等にもふれ、実にリアルな「バレエ」を描いています。

この主人公六花はちょっと気が弱くて、
でも、人のことにも気が回るとても気持ちの良い子なんですね。
コンクールでは緊張のあまりミスをしてしまうようなことも。
けれども、すこしずつ、たくましく成長していく、そんな姿を描いてもいるのです。
この巻に登場する彼女は少なくとも、バレエに関しては相当安定した実力を身に付けてきているようで、何より。
・・・でも、どうなのでしょう。
1部を見た限りは、彼女はむしろ本人が踊るよりも振付師の方向へ進むような感触があったのですが。
これからの話になるのでしょうか。
そして、初めの方に登場したきり、姿を現さない空美ちゃんは、一体どうなっちゃったのか???
まだまだ、一波乱も二波乱もありそうですね・・・。
ハンサムではないけれど、男っぽくしかし意外と神経は繊細な拓人君は好きです・・・。
しかし、これではノンナとミロノフ先生のようなロマンチックは望めそうにはないですね・・・。

満足度★★★★


「ヴィリ(Wilis)」 山岸凉子 

2007年11月04日 | コミックス

「ヴィリ(Wilis)」 山岸凉子 メディアファクトリ

店頭で見つけたこの本。
バレエマンガ。
「テレプシコーラ」の続編?と思ったのですが、これはまた、別の話です。
もちろんバレエは「アラベスク」の頃から山岸凉子の真骨頂ではありますが、もう一つの彼女の得意分野。
それは怪談。
この本は、この、バレエと怪談の融合で、山岸ファンには垂涎の一作といえるでしょう。

「ヴィリ」または「ウィリー」は、クラシックバレエの代表作「ジゼル」に登場する結婚直前になくなった女性が精霊になったもの。
・・・つまり、多分にこの世に未練たっぷりの幽霊、ということです。
この演目を控えるバレエ団の人々が織り成すドラマがこの本。

43歳の東山礼奈はバレエ団を経営する彼女自ら「ジゼル」を踊る予定だが、また最近特に美しく、踊りも円熟。
そのわけは、IT企業の社長、高遠和也との付き合いにあるようだ。
彼女には若い頃付き合って別れた恋人との間に生まれた娘、舞がいる。
プロポーズを心待ちにする礼奈だったが、和也が愛していたのは意外にも・・・!
そこで受けた精神的打撃はあまりにも大きく、抜け殻のようになってしまう礼奈。
そしてステージの奈落から誤って転落。

「ジゼル」に登場するヴィリ。
以前からひそかに語られている、奈落から転落死したダンサーの幽霊譚。
それをなぞるかのような、今回の事故。
これらが絡み合って、独特の味が出ています。
・・・ということで、ちょっぴり怖いバレエのストーリー。
しかし私が一番ショックだったのは、はっきり言ってただの「おじさん」の高遠氏の相手がなんと高校生。
・・・ストーリー上の都合とはいえ、それなはいでしょ~、ほとんど犯罪。
まあ、IT企業社長・・・といえば連想する、アウトサイダー取引であっけなくも逮捕されちゃうところがまた、なんとも・・・。
ここで登場する男性は、女性が成長するための単にアイテムとしての男性であり、その人物像は、さして重要ではない、ということなのだと思います。
この描写の軽さが、証明しています。
それにくらべて、この、礼奈のおそろしいまでの生々しさ・・・。
そして、開き直る強さ。
ここがやっぱり、年齢を重ねた「女」、山岸凉子の力量なんだなあ。

ほとんど想像ついちゃうかもしれませんが、あえてネタばらしをしていませんので、この衝撃を、ぜひご自分で味わってください・・・。


満足度★★★★


「ベルばらKids2」 池田理代子

2007年09月08日 | コミックス

「ベルばらKids2」 池田理代子 朝日新聞社

ベルばらについて語れば、ミーハーなのでキリがありません。
こんな話をすれば年が丸わかりですが、週刊マーガレットでオスカルとアンドレがフランス革命を迎えた頃、私は花の高校生。
青春真っ盛りでありました。
もっとも、その年でオスカルだアンドレだと騒いでいるようでは、実生活でボーイフレンドに不自由していないなんて状況にあるはずはありませんよね・・・。
学生時代には、宝塚のベルサイユのばらを見に、はるばる上京(東京公演だったんです)。あの時のオスカルは榛名由梨さんでしたねえ・・・。
(ふと、遠い目になっている・・・)
おっと、そんなわけで、ベルばらKidsを買わずに済むはずがありません。
妙に装丁が立派過ぎて高いですが、1巻に引き続き購入。

第一巻よりさらに、彼ら彼女らの行動範囲が広がりました。
ベルサイユはもちろん、ある時は原宿、またあるときは韓国は冬ソナのロケ地にまで出没。
オスカルとアンドレは仲良くお月見をしたり、浴衣姿で縁日を楽しんだり。
ルイ16世にいたっては、相撲にはまる日々。
モンゴルへ行って、朝青龍を慰めてほしいくらい。
完全に時空を超越。
自由で平和そうで、やっとオスカルとアンドレに訪れた幸せな日々。
よかったねえ・・・と、ほろりとさえしてしまう、ミーハーな私。
3頭身バンザイです。

さて、ところが、この本には文句があります。
1巻を見ても、強く感じましたが、このマンガページに挟まる解説ページははっきり言ってジャマです。
多分このような本を買うのは私のような元ミーハーだと思うので、いまさらベルばらの解説なんて必要ありません。
開くたび、いらいらさせられます。
3頭身に徹すればいい。
これは朝日新聞の土曜版に連載されているものだそうですが、この、解説部分もあわせて連載されているのかな?
・・・う~ん、それにしてもやはり、これはページの水増しとしか思えない。
しかも倍の水増しですよ。
たとえ次の巻が出るまでの期間が倍になっても、こんな詐欺みたいなやり方はやめてほしい・・・。

ということで
満足度★★
池田理代子さんゴメンナサイ!


「ヒメママ」玖保キリコ

2007年05月17日 | コミックス

「ヒメママ」 玖保キリコ マガジンハウス

単純化された絵ながら、実に深い味がある、というのは、「バケツでごはん」でも感じたところです。
ちょっとシニカルな視線のようでいて、実は温かい・・・という、この感じがすきなんですよね。
このストーリーは、強烈にわがままな、お姑さんに振り回される家族の物語。
何しろ、わがまま、自己チュウ。
ほとんど芸術的と思えるほど。
だからこそ、「ヒメ」なのです。
その長男、ハルオは、子供の頃からの付き合いに、ほとんどあきらめの境地。
その妻ハナが,一番大変な役どころながら、何とかうまく付き合っている。
私はこの、ハナさんを尊敬します!!
リサ(お姑さんの名前!)のわがままにうんざりさせられながらも、それを許容し、極力望む方向へと、がんばってみる。
これはなかなか出来ることではないですよ~。
少なくとも、私はムリだと思う。

さて、このリサさんは・・・・
年をごまかし、少しでも若く見られようとする。
いくつになってもおしゃれ。
孫にも、「おばあちゃん」と呼ばせない。
ヤングの洋服売り場ではちょうど合うサイズが無く、お客のニーズを考えてないと、怒る。
本当はミセス向けのフロアへ行けばあるのだけれど、そんなバアサン服売り場へは、行きたくない。
う~む、わがままって言うけど、一種共感できる部分あるよねえ。
これって、普通の女の気持ちを代弁してるだけなのかも知れない、という気もします。
これだけ、いいたいこと言えれば、ストレスもたまらなさそうだし。
なんだかちょっとかわいい部分も感じられたりして。
いつの間にか、リサちゃんのファンになってたりして。
ハナさん、申し訳ないですが、このわがままリサちゃんにお付き合いくださいませ・・・。

さて、この向かうところ敵無しに見えるリサの天敵は、妹のルリ。
何と、イギリス貴族と離婚後、フランス人大富豪と結婚。
パリで優雅に暮らしているという。
黒柳徹子に酷似したこの妹に、負けたくないけどかなわない、というユニークな設定。
この先一波乱も二波乱もありそうですね!!


「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」吉田秋生

2007年05月06日 | コミックス

「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」 吉田秋生 小学館フラワーコミックス

待ってました。吉田秋生の新シリーズ。
舞台は鎌倉。
これは、ここのところ続いた超人的頭脳・身体的能力とか、どこかの組織の陰謀とか、マシンガンやら、カンフーやらは、一切なしです!
リアルな日常の風景なんですね。
「ラヴァーズ・キス」などでわかるように、なにも「バナナフィッシュ」とか、「YASHA]のような物語が彼女の本領というわけではないですよね。
鎌倉の古い家に住む4人の姉妹の物語ですが、短編の連作によって、一人一人の内面が浮き出されてきます。

始めの一作が、この本のタイトルの「蝉時雨のやむ頃」。
もともとは、3人姉妹で暮らしていたのですが、そこに届いた父親の訃報。
父は、まだ3人が小さい頃に家を出て、別の女性と結婚していた。
そこでも、娘すずが生まれていたのだけれど、妻は亡くなっていて、父はまた別の女性と結婚していた、と。
ややこしい話なんですが、つまり、その異母姉妹に当たる子、すずは、この度実の父を亡くし、血のつながらない義理の母と、その連れ子の子供たちという家庭に取り残されたという状況になっていました。
3姉妹とは葬儀で初めて顔を合わせたのです。

3姉妹にとってはもともと、ろくに記憶にもなく、父親という実感のない男性。
まだ中学生のすずは、気丈にも、唯一の血縁という立場で、病身の父を支え,また,見送ることになった。誰にもその辛さをわかってもらえず、一人で耐えていた。
ラストではこの4人の父親への想いが重なり合い、姉妹の絆が生まれます。
そして、3姉妹は、すずを鎌倉に呼んで、家族として、一緒に暮らすことになるのです。
この4人同居の顛末を語る重要な一作ではありますが、それぞれの個性も十分に紹介されており、まさにトップを飾るに足る一作。すずが、3人の前で、これまでこらえていた堰が切れたように号泣するシーンが、見開きのページにあり、ここは、思わず、もらい泣きします。迫力ある描写です。

このように、結構内容はシリアスなのですが、この登場人物たちの日常の会話が生活観あふれ、イキイキしていて、楽しい。
「大吟醸 熊うっちゃり」 って、私も飲んでみたい!(大吟醸にこのネーミングとは、何と大胆な!!)


長女 幸(さち):皆からは、シャチネエと呼ばれる。看護師。皆を取りまとめるしっかりもの。
次女 佳乃:信金勤め。オトコ運悪し。酒癖が悪い。
三女 千佳:スポーツ店店員。3人の中では一番自由奔放のようだけれど・・・、まだ、よくわかりません。
そして、新しい末の妹 すず:中学生。前の家ではオトナを演じなければならなかったけれど、ここでは少しほっとしている。でも、基本的にしっかりしている子。サッカーチームに入団。

さて、この4人が今後どんなストーリーを紡ぎ出すのでしょう。
多分、これが彼女の代表作になることを確信しています。
続きが楽しみです。