谷崎光 中国日記  official blog  

北京発! 2018年9月3日で北京在住18年目に突入。

「日本人の値段」 日刊ゲンダイさんにご紹介いただきました!

2015年01月25日 | 新刊紹介 日本人の値段
「日本人の値段」、日刊ゲンダイさんにご紹介いただきました。
なんか、めちゃうれしいですね。
「技術者の値段」もちゃんとリアルに、書いてくださっています!

そうなんですよ。車のみならず、家電の技術者の人も、日本よりはるかに高いんです。
そして海外でそれだけ取れる人は、やはり技術とコミニケーション力と両方ある場合が多い。
ないと、淘汰されます。
もちろん機密流出狙いも存在するんですけど、中国の場合、まだ基礎的なことや問題解決をきっちり教えてほしい、という場合も多いです。
優秀な人に、とにかく工場にいてほしい。できないことが多すぎる。
韓国みたいに、技術が移転したとたん、半年で給料値下げ交渉に入るとか、そういうことはない、と、関係者の皆さん、口をそろえておっしゃってました。

客観的な、わかりやすい、いい書評を、本当に有難うございます。
今、どこもウェブ連動だから、うれしいです。ずっと見てもらえますもん。


第二次世界大戦後、中国に拘留された日本人技術者の自伝的な本があります。

北京三十五年ー中国革命の中の日本人技師(岩波新書)

この方は、たしか東北大を出て日本の超一流企業にお勤めでした。で、戦時中、中国にいた。
敗戦になり、最初は共産党に技術指導目的で拘留されるんですが、あまりに各地、各部門で必要とされるもので、
そのまま残ったんですね。
中国では、毎朝経理部がお金のつまった金庫を開けて差し出します。
「今日のお金、好きなだけ取ってください」という意味なんですね。
で、適当にお金をつかんで、それから人力車とか車に乗って、工場に行く。
またこの人が使える人で、本当に町工場から大工場まで、専門からラジオのスピーカーまで工夫していろんなことを指導する。
中国人は大喜びする。彼らはレストランの厨房でも、野菜を切る人は切るだけでほかのことはしないし、できないし…。
私がアパレルの技術者と工場に行っていた時も、技術者が「貸してみ。こうする」といって、ミシンの見本をあざやかにかけたりすると、拍手が起こってました。一緒に行っているそのアパレルのえらいさんとかは無視なんですよね……(笑)。

文革の時は、またつかまったり、
あっという間に月日が流れ、そしてある日、中国で戦後の日本製のカメラを見る話が書かれています。

いつの時代も、どこに行っても日本人は働き者というか、
是非はあると思いますが、世界中の技術者が働く今の中国企業でも、人気NO1は日本人エンジニアです。
海外は、いろんなことがありますけれど……。

日本人の値段、アマゾンにもまた入荷いたしました。
ぜひご一読ください!

週刊文春1月22日発売号 「この人のスケジュール表」にご掲載いただきました!

2015年01月22日 | 新刊紹介 日本人の値段
うわっ! 週刊文春のサイトのトップで新着記事で、出るんですね。
びっくり! めちゃうれしいです。

週刊文春の1月22日発売号、「この人のスケジュール表」にご掲載いただきました!

すごくいい記事ですね!
私、実は自分が話すのは、あまりうまくないんですよ。

見に行った映画の説明とかを友だちに会話でやると、
「あんた、『うん、おもしろくてね。だからめちゃくちゃおもしろくて、おもしろいよ』て、何がおもしろいか全然わからないよ」
とよく言われます(笑)。

道の説明もダメ。大阪人と中国人は、道の説明はヘタな人が多い。なのに両者とも世界中にいる、不思議な民族。
(自分が行くのは迷わない)

そういう人の話を、時間もかけてきちんと聞いてくださって、
週刊誌の読者にピッタリにまとめてある。
文春さんは、基本的に記者もできる人を採用していることが多いです。


おもえば文春さんには、最初の作品も出していただいて、その後も、いろんなことを教えてもらいました。

あそこは、社内が一種のシンクタンクみたいになっていて、
硬軟、どのテーマを出しても、それぞれ専門家ほど知っている編集者さんがいる。で、専門方面のお知り合いも多い。
若かったから、女性編集者さんと女性自衛隊のモーレツ訓練体験取材なんかも行きました。
そういうときも、ちゃんと上の人が、自衛隊のその駐屯地の幹部に直接電話しておいてくれたりとか、やりやすい。
泊まりがけで、女性鬼舎監が出てきて、毛布の角が立ってなーい、畳み直し!、とかありましたが……。


取材のコツも教えてもらい、
実は今回の、「日本人の値段」のなかにも、その頃に学んだことが、かなり生かされてます。
あと、今回良かったのは、担当編集者さんの「質問力」ですね。
私は説明をすっとばすところもあるんですが、そこを逃さず、ちゃんと聞いてくれる。それでふくらんだ箇所も多くあります。
いい編集者さんてね、その人の持ち味を生かして、「人に書かす」のがうまいんですよ。当然、それが仕事ですが。


私が元いた、「てなもんや商社」もそうですが、かつての日本社会というのは、内部のみならず、けっこう外部の人でも、業界みんなで教育をした。
私が最初の本を出したころも、出版業界はまだ牧歌的だったのかもしれないです。


「日本人の値段」の中に、新卒で東芝に入った技術者さんが、最初、何年かはラグビーをしていた、育ててくれる人もいた、という話があるんですが、
しかし、今回インタビューしてくれた編集者さんと話していたら、
「今は、新人、即戦力、みたいな。それで30代、仮面ウツになる、みたいな現象もあります」

あーっ、たしかに。
昔と世代別の人数比率が全然違う。
あとふつうの会社でも、昔みたいに、全員、正社員とかじゃないよね。
正社員は若くて細部の実務も知らないのに、オペレーション業務のみになる。それはキツイ。


この人口比率も個々の労働形態も変わっているのに、人事システムだけが変わってない、というのが日本社会の足をひっぱっているんでしょうね。


「成果主義」といっても、人事システムを全部細かに「ちゃんと」変えようとするから無理がある。そんなの日本では難しいです。
前の、年功序列の形態もひきずっているんだし。

そうでなくて、まずは、「目立つ成果をあげた人に、目立つ褒賞を渡す」ことからでいいと、私は思うんですが。

たとえば青色発光ダイオードの、ノーベル賞の中村さんね。
最終、訴訟になり、一審で200億円払え、二審で8億で和解しましたが、
これ、最初に1億円のボーナスを出しておけば、中村さん、会社やめなかったし、アメリカ人にもならなかったと思う。
で、会社と共同でもっといい研究ができたかも。日本の人的財産も流出しなかった。
会社には裁判時の推定利益だけで1200億円も儲けさせているんだから。(もちろん会社の貢献も大きいです)。
徳島のイチ企業じゃなく、世界の日亜化学になっていたかもしれない。いい研究者もきたりして。

それを2万円とか渡して、海外研究者から「スレイブ中村」と笑われるはめになった。
こういう場合の報奨金はお金だけどお金じゃない、評価の証明でもあります。
社長賞の5万円、とかじゃなくて(→昔、グループ会社のをもらいました。私の場合は当時の世相で女性も仕事しているという客寄せパンダ用と上司の力でしたが)、もっと、おっ、という金額を、年齢、性別関係なしで、やる。
別に毎年払うわけじゃないから、若くてもいいんですよ。もちろん来月、定年でもいい。
中国なんて、工場長、ボーナス3億円とかです。
「できる」人でも、べつに一生、ずっと「できる」わけでじゃない。
極端に目立つ成果を上げたときは、その時に、ある程度もらったらいいと思うんですよ。
ところが日本は、個人への還元ではなく、
「オレは経費、どれだけ使えるか」競争になっていく。人間て、神様じゃないから、自分がソンしていると思うと、埋める感覚が働き、腐敗も生む。
日本が世界有数の経費大国なのはそのあたりです。
 でもそれって会社にいる間だけだし、現金でもらったほうがいいよね。
 とくに女性はそう。

 
それに一番いいのはポンと、報奨金をもらえば、それを見ている人々が「おれも一発、当てるか!」と、がんばると思うんですね。
会社でポーンとヒットを飛ばすのは、意外な人なことも多いしね。
日本て、人材以外、あまり何もない国です。価値を創造するしか、それを促進するしか、生き延びる道はないです。


優秀な人はほっといても、金銭的評価がなくても、頑張るんですよ。でもそういう人は数が少ない。
反対に、職を間違えてやる気のない人は、会社が何をしてもダメ。
やり直しの効く若いうちに辞めさせてあげるのが、会社の情けだと私は思います。歳取ってても、やり直したほうがいいよ。人生は一度です。
一番怖いのは、そういう人に長くいるからというだけで高待遇にすると、下にそれがいいことだと教育することになってしまう。
場所さえ変えれば力発揮できるのに、流動社会じゃないゆえに、ひねくれていく人も多い。一番もったいない。

がんばる、がんばらない、どっちにも転ぶ、人数の多い中間の人にいかに高くモチベーションを持ってもらうか、というのが日本が活性化するポイントだと私は思うんですが、いかがでしょうか?
 

PS:いい記事で、アマゾンサイト、さっそく売り切れですが、小学館さんのサイトからも購入できます。

新刊「日本人の値段」 日経新聞の書評に載りました! 

2015年01月15日 | 新刊紹介 日本人の値段
やったー!

新刊「日本人の値段」、日経新聞の『目利きが選ぶ今週の3冊』にて、とっても良い書評を書いていただきました。

日本人の値段 谷崎光著 中国に渡った技術者描く

書いた意図とか、実態を本当によくわかってくださっている(涙)と思ったら、選んでくださった評者は福山大学教授で経済評論家の中沢孝夫先生。
いわゆる先生然とした方ではなく、ご自分でいろんな企業や商店街の調査もされます。
「自分自身の限界の自覚」というのは、すなわち「日本社会の限界」でもあります。
誠実な感じの書評なんですが、アマゾンの順位がいきなりめちゃくちゃアップ。こんなことは著者が言わないほうがいいのかな。でもね、技術者じゃないけどお金が欲しかったら、こんな仕事はしておりません。まったく売れないと人に迷惑もかけるしね。


日経といえば、大阪の私の実家は、日経新聞大阪本社から歩いて5分ぐらいのところで、
ビルが建った時からよく見ていました。
今は知りませんが、当時は地下が印刷所になっていて、そこで人が働いているのが外から見える。
父が小学生の私の手を引きながら、
「コンピューターで組版をして、すぐ新聞ができるんや」
などと教えてくれる。

高校生になると姉と手をつないで、毎日、大阪本社前を通って徒歩通学してました。(もうちょっと行くと、やっぱりNHK大阪本社があります)。

で、処女作を書いたときに、やっぱり日経に書評を載せてもらって、
大阪本社の記者さんが、それを告げに電話をしてくれたんですね。


その頃はもう別の場所で一人暮らしをしてましたが、実家のマンションの中の、別の一室を事務所にしていて、
そこで電話を受けた。
子供の時から知っている、あのビルの中から、私に電話が来たーと思うと、ものすごく不思議な気がしました。
屋上に行ったら、窓から電話している記者さんが見えるような気がした。
思わず、
「家は日経で、子供の時からずっと『私の履歴書』読んでました」
と、言ったら、
「あれはねー、社内では、『私の自慢書』と言われてるんですよー」

と返されて、ウケました。
あ、いけない、こんなことを書いては(笑)。せっかく書評載せてくれたのに。
ま、関西人と言うのは、何か褒められたら落とさなくてはいけない、という鉄の義務感がある。それに昔はもっと財界話に終始してましたからね。


冗談はさておきまして、
ご紹介、本当に有難うございました。
正直なところ、この内容でよく『日経』が載せてくれたなぁと。新聞でも雑誌でもブログでもなく、『本』でしか書けないことがてんこもりです。お手にとっていただければうれしいです。


とにかく、この本は、仕事ができたことが本当にうれしいです。
伝えたいことがありました。
いつも凝る後書きは、実は今回、私がページ数を大幅オーバーしまして、もう調整がめちゃくちゃ大変で、目次を削ったぐらいでどうしても入らなかったんですけど、まずは取材にご協力くださった方々、そして出版にご尽力くださった方々、関わってくださった方々に心からお礼申し上げます。


来週は、週刊文春の「この人のスケジュール表」に登場させていただきます!



新年快楽! 意外と進んでいるかも 日中音楽ビジネス

2015年01月03日 | エッセイ
明けましておめでとうございます! 


さて、年末に漫画家のあっこさんが、日本人が中国で手掛けているという、中国人シンガーのMVを送ってくれました。ボーカルの人が作詞作曲。日本から見れるかな。
 日本人は北京外国語大学の後輩だとか。
 その中山邦夫さん、中国での肩書はエイベックスのプロデューサー。

 中国ってね、MVは日本のレベルに及ばないのが多いんだけど、これはなかなかです。







 北京で暮らしていると、今の中国の若者のこんな感じはよくわかる。
 私、年下趣味!もないし、男の顔はあまり見てないんですが、それでもイケメン増えた(美女はもっと早く改革開放と同時に増えました)。混血が多い国だから、昔もかっこいいのはいたはずなんだけど、ビン底メガネかけてたしわからない…(笑)。


 で、それに磨きをかけるのが日本人と。



 うわっ、さっきのイケメン君、最初はこんなんだったんですね。
 中国のローカル美容院によくいる地方出身の男の子みたい。これだけ光れば磨きがいあるなあ。この子、性格よさそうですね。


 昔、「洋楽」の時代に、英語のできるプロデューサーが欧米に行き、外タレの版権買ったり、日本に連れてきていましたが、とっくにこういう時代になってるんですね。
 こういうコンテンツビジネスやるなら、言葉、必須。現地に精通、必須。若さ、必須。
 人民日報のインタビューを見てたら、中山さん、日本では意外な仕事で先が見えず、99年に貯めたお金で北京に来て、好きな音楽でコネクションを作って発展していった。
 「日本人の値段」の、中国で勝つ日本人、負ける日本人にも書いたけど、日本の「非主流」で中国で成功するタイプかも。

 
 中国でAKBも人気あるんですけど、中国人の若者に言わすと、「日本のMVとかは、ダンス、ファッション、メイク、もう中国のとは比べ物にならない」とか。
 ヨイショじゃなくてね、本当にそうなんです。中国のテレビみていると、これでプロか、というレベルの人がたくさん踊っている。


 日本人が、この方面で中国でこれからやることはたくさんあるだろうな。
 なんといっても市場は大きいし。
 コンテンツは勝手に使われ放題の国ではありますが(YOUKUとか人の褌で、広告取れて儲かるから、誰も規制しない)、それで知名度上げて、コンサートとか、うまくやれば儲かる。
 初期、そのへん、うまかったのが香港の歌手とか、小野リサさんですね。


 今年のお正月、北京は空気もけっこうよかったです。今日はちょっと悪いかな。今、郊外なんで、市内はわかりませんが…。