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日本のゲイはそんなに悪いのか?~HIV感染増加について……

2007年05月24日 03時35分22秒 | セクシュアリティ雑感
 日本のゲイのHIV感染増加について、いろいろな方がいろいろなことを言っておられます。日本のゲイについて否定的な意見が多いように思われます。

 しかし、アメリカでは3億人の人口で毎年4万人の感染者を出している。人口8200万人ほどのドイツと、人口6000万人ほどのフランスはちょっと前に年間新規感染者数が1万人を超えました。人口6000万人ほどのイギリスでも7000人を超えました。
 いま詳しいデータを探したのですがどこかにいってしまっているので感染経路別のデータなどはっきりしたことはいえませんが、これらの国の感染者数と比べると、日本の感染者数は劇的に少ないです。ヨーロッパ各国はサブサハラ・アフリカからの移民もいたりしますので、そちらの影響もかなりあるはずです。とはいえ、同性間の性感染だけを見ても、日本は少ないはずです。

 このような結果になる要因としては、日本では検査をしている人が少なすぎるということもあるかもしれません。データ・サンプリングがあまりにも貧弱だということです。
 しかし、そうだとしても、その割には発症者の増加が思ったほど多くなっていないということもあります。しかも実際の感染者は昨日の結果の数倍いるのだとしても、まだ、欧米の水準には達しません。

 というわけで、やはり現状としては、人口当たりの新規感染者が実際に少ない可能性は大いにあります。日本人はよくやってるほうだとも言える。

 そうだとすると、日本では他の先進国よりも多くの人がより気をつけ、よりセーファーセックスを実践している可能性が高い。セックスをする以上、一定頻度ではセーファーセックスの失敗も起こるでしょうから、性感染症の感染拡大を0にすることは不可能でしょう。どこまで下げられるのかということです。
 よく「先進国中右肩上がりで増え続けているのは日本だけだ」なんてことを言われます。しかし、もうお分かりと思いますが、多少減ったといわれても、感染の報告数ベースで言うと一桁多いわけです。
 テストで90点取れている人に対して、40点あたりで上がったり下がったりしている人が、「お前、それ以上点取れねえのかよ~。俺は点上がったぜ!」なんて自慢しているようなもんで、お門違いはなはだしいわけです。

 とはいえ1300人。それ自体は決して少ない数字でもありません。
 これをどうやって減らすのかということ、そこに対してどういう対策がありうるのか、予防啓発団体にできることはなになのか、自分にできることはなんなのか?
 
 中には、「ハッテン場をつぶせばよい」という方もいらっしゃいますが、これはこのネット地代にはその余波がネットに沈潜するだけの話ですから、さしたる効果は示さないような気がします。実際、やってみようとしても反対するゲイもたくさんいるはずですし、人がどういうセックスをするかってところまで政治権力が介入してもよいのかという問題もあります。

 学校教育の中での啓発も必要です。が、いまの内閣ではそんなのとは逆向きに走っています。このごろでは、本気で純潔教育がよいと考えている人がいるようです。ほとんど意味不明です。

 昨日も書きましたが、今の日本ではルサンチマンを募らせている方々がいらっしゃって、そういう方々はどうしたって自暴自棄な行動に走りやすいと思われますので、そういう方々に尊厳を持って生きていただけるような社会になる必要があると思われます。

 単に危険行為をすることを責めるだけでは、彼らは暗闇に沈潜してしまうでしょう。人間がどこか行き過ぎたことをしてしまうのには何らかの理由がだいたいはあります。彼らは自分の尊厳を尊重されず、将来を展望できず、現状の貧困な状態を維持することだけでも汲汲としているのかもしれません。そういう方々に、こちらに来れば、ちゃんと受容される空間があるんだよっていうアピールをコミュニティの側がどうやって用意できるかってことかもしれません。


 
 

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