MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

太宰治「走れメロス」の検証

2014-02-12 00:55:05 | Weblog

「大弦小弦」【沖縄タイムス】(沖縄タイムス) - goo ニュース

 村上春樹の「ドライブ・マイ・カー」を論じたついでに、太宰治の「走れメロス」にも言及

しておきたい。理数教育研究所の自由研究コンクールで最優秀賞の一つに選ばれた

愛知県の中学2年生の男子の「メロスの全力を検証」はとても興味深い。文章中の時や

場所を表す記述から足取りをデータ化し、全行程をグラフに表し、その結果、往路は

時速3・9キロで、一般男性が歩く速さとほぼ一致することから「歩いていた」と推測し、

友のために死力を振り絞り「沈んでいく太陽の10倍も速く走った」とされるラストスパート

でも時速5・3キロで、フルマラソンを4時間半で走る場合の時速9キロと比べても

「遅すぎる」と結論付けている。学校では「走れメロス」は友情の尊さを学ぶ教材として

扱われているが、ラストにおいてメロスが素っ裸でいることからも分かるように、明らかに

太宰はふざけ半分で「走れメロス」を書いているはずで、だから今回の検証もようやく

自分の意図を読み取ったと太宰本人も思っているはずで、この検証で、歩いていないで

「走れメロス」というタイトルを付けた意図も明白になったと思う。大人のリテラシーは

低下しているが、子供のリテラシーが上がっていることが何より救いである。


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村上春樹「ドライブ・マイ・カー」

2014-02-11 19:48:01 | Weblog

村上春樹、“たばこポイ捨て”批判にコメント 単行本では「別の名前に変えたい」(ORICON STYLE) - goo ニュース

 日本テレビの「明日、ママがいない」に対する批判においても感じたことであるが、

この村上春樹の短編小説「ドライブ・マイ・カー」においても、主人公の感想として

「たぶん中頓別町ではみんなが普通にやっていることなのだろう」と書かれた部分

だけを取り上げて批判するからおかしなことになるのである。これは筋を追って

読まなければ作者の意図は分からないと思う。俳優の主人公が、専属運転手で

中頓別町出身の24歳の女性「渡利みさき」と亡くなった妻の思い出などを車中で

語り合った際に、みさきが同町について「一年の半分近く道路は凍結している」と

紹介し、みさきが火のついたたばこを運転席の窓から捨てた時に、主人公が

思ったことである。主人公が何故そのように思ったのか勘案するならば、一年の半分

近く凍結している道路を火のついたタバコを町民一体となって捨てることで溶かすため

である。この程度のギャグが理解できない大人は何を楽しみに生きているのだろうか


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『メイジーの瞳』

2014-02-11 19:11:10 | goo映画レビュー

原題:『What Maisie Knew』
監督:スコット・マクギー/デイヴィッド・シーゲル
脚本:ナンシー・ドイン/キャロル・カートライト
撮影:ジャイルズ・ナットジェンズ
出演:ジュリアン・ムーア/アレキサンダー・スカルスガルド/オナタ・アプリール
2013年/アメリカ

子育ては誰が担うべきなのか?

 その特異な職業から疑問を呈されることはないのであるが、ニューヨーク在住の6歳のメイジーの両親が抱える問題は、本来ならば母親であるスザンナがロック歌手を引退し、アートディーラーとして世界を飛び回っている父親のビールが仕事に専念できる環境を作れればいいはずなのである。本作は敢えて母親も仕事が辞められない状況を作り出すことで、一体、子供は誰に育てられるべきなのかという問いを投げかけているのである。
 両親の離婚後に二人の家を10日ごとに行き来することになったメイジーの世話をするようになるのは元々ベビーシッターだったマーゴとバーテンダーのリンカーンである。マーゴと一緒にメイジーが訪れた海辺の家はとりあえず今は無人の売家だった。そこへリンカーンも現れ3人は一時的の家族として暮らし始め、ツアーバスで迎えに来たスザンナの誘いを断るのであるが、母親のプレゼントを受け取ったところをみるとメイジーはスザンナを見限ったのではない。タイトルの「What Maisie Knew(メイジーが知っていたこと)」を勘案するならば、マーゴやリンカーンも仕事が忙しくなれば両親のように子育てを疎かにしてしまうだろうということで、岸辺の船に向かうメイジーの顔が決して満面の笑みではない理由はそこにある。


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デヴィ・スカルノと籾井勝人

2014-02-10 22:10:03 | Weblog

違反警告133件=前回都知事選の4倍―警視庁(時事通信) - goo ニュース
NHK会長発言めぐりネット白熱 「追及」された会見出席の記者たち(産経新聞) - goo ニュース

 警視庁の選挙違反取締本部が9日に、東京都知事選の違反取り締まりで、メールで

投票を呼び掛けた違反の1件というのは、タレントのデヴィ夫人が、事前に登録をした

人に定期的に電子メールで情報を流す「メールマガジン」を使って、東京都知事選挙の

期間中に、みずから支援をしていた立候補者の田母神俊雄氏への投票を呼びかけた件で

ある。デヴィ夫人の事務所は「メールの内容はすでに撤回しているが、詳しいことは

答えられない」としているが、籾井勝人NHK新会長が1月25日の就任会見で、

慰安婦問題に関し、「慰安婦は、今のモラルでは悪い。僕はいいと言っているのではない。

しかし、そのときの現実としてあった。この2つを分けないと分かりづらい。個人的見解

だが、韓国だけではなく、戦争地域に僕はあったと思う。ほかの地域になかったという

証拠はない。ドイツにもフランスにも、ヨーロッパにはどこでもあっただろう。

この問題は、韓国が日本だけが強制連行したように主張するから話がややこしい。

それは日韓基本条約で国際的には解決している。それを蒸し返されるのはおかしい」

と発言した際に、記者が「これは会長の記者会見の場だから、個人的見解は認めれない」

指摘され、「それなら発言を取り消します」と答えたことを思い出す。これは記者の

トラップではあるが、発言が間違っていたから訂正してなかったことにするならば

理解できるが、発言そのものを取り消したり撤回したりすることは不可能だからである。


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『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ ~終わりなき旅~』

2014-02-10 21:31:18 | goo映画レビュー

原題:『BUDDHA2 手塚治虫のブッダ ~終わりなき旅~』
監督:小村敏明
脚本:吉田玲子
出演:吉永小百合/吉岡秀隆/松山ケンイチ/観世清和/水樹奈々/真木よう子
2014年/日本

3部作の2部目の難しさ

 全3部作の2部目ということの難しさは確かにあるとは思うのであるが、例えば、前作『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』(森下孝三監督 2011年)において、母親に対するチャプラの命がけの想いをラストに見せられた後に、コーサラ国のルリ王子の、奴隷身分の母親に対する冷酷さは何とも後味が悪い。
 拷問と判別しにくいシッダールタとデーパの受ける修行はなかなか興味深いが、本作の一番の見どころであるはずのシッダールタの解脱の描写が呆気なく、前作と比較するならば盛り上がりに欠けると思う。


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品の無い男だけ都知事になる

2014-02-09 23:30:32 | Weblog

都知事選 舛添氏が当選確実 宇都宮氏、細川氏ら破る 投票率は大幅減34.14%(産経新聞) - goo ニュース
都知事に舛添氏=「原発即ゼロ」細川氏ら抑える―投票率46.15%の低水準(時事通信) - goo ニュース

 猪瀬直樹前知事の辞職に伴う東京都知事選は圧倒的に舛添要一の優勢の流れが

変わらなかった。反原発を掲げる宇都宮健児と細川護煕の同時出馬は、とりわけ

2013年7月の第23回参議院議員選挙の東京選挙区のように民主党の票が

割れて維新とみんなの党の票が割れて無所属の山本太郎が当選したのと同じ展開で

あるし、今日の選挙日は前日の豪雪により、ただでさえ投票所に行こうかどうしようか

迷っていた「浮動票」の足を完全に止めてしまったために、例え雪に足を取られて転んで

重傷を負ってでも必ず投票に行く公明党の組織票を持つ舛添に勝てるはずがないのだ。


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『スノーピアサー』

2014-02-09 22:55:38 | goo映画レビュー

原題:『Snowpiercer』
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/ケリー・マスターソン
撮影:ホン・キュンピョ
出演:クリス・エヴァンス/ソン・ガンホ/コ・アソン/ジェイミー・ベル/アリソン・ピル
2013年/韓国・アメリカ・フランス

奇を衒って失敗した演出について

 タイトル通りに「雪の中を貫く」列車の中の出来事を描いた原作は申し分ないものであるが、演出には疑問を持たざるを得ない。例えば、ウィルフォードの右腕として働くメイソンは、貧困層が住む後部車両を訪れ、2人の子供を連れて行こうとした際に、息子を奪われたアンドリューに靴を投げつけられ、頭部に怪我を負う。罰としてアンドリューは右腕を外気に晒され、凍傷によって失うことになるのであるが、「靴」によって「頭」に怪我を負うというシーンは「貧困層」の「富裕層」に対する反乱という隠喩であり、その後、 カーティスたちに捕えられたメイソンが口から入れ歯を出すシーンは、「富裕層」の現実が「虚飾」であるという隠喩であろう。しかしこの奇をてらった(あるいは古臭い)演出が近未来のSF作品に馴染んでいないように見えるのである。
 白人の男の子が列車の操縦室に乗り込み、列車が爆発して止まった後に、アジア系の17歳のヨナと、アフリカ系のターニャの息子が白熊と一緒に生き残るラストシーンは皮肉まじりで良かったが、『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』(キム・ソンス監督 2013年)同様に、何故韓国人の監督を起用したのか疑問が残る。


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『ニシノユキヒコの恋と冒険』

2014-02-08 22:04:55 | goo映画レビュー

原題:『ニシノユキヒコの恋と冒険』
監督:井口奈己
脚本:井口奈己
出演:竹野内豊/尾野真千子/成海璃子/木村文乃/本田翼/阿川佐和子/中村ゆりか
2014年/日本

ギクシャクした中の邂逅について

 『ニシノユキヒコの恋と冒険』と題された本作が、果たしてニシノユキヒコがモテている話が描かれているのか疑問が残る理由は、確かに絶えず女性たちと関わりを持ってはいるものの、ニシノユキヒコが心の底から嬉しそうにしている様子が見えないからで、微笑みだけは絶やさないようにしようとしているニシノは既に肉体を持たない幽霊であり、緩い演出も手伝って主人公の本心を捉え損なうことは必至である。
 そもそも登場人物たちもお互いを理解し損なっている。作品冒頭で、女子高校生のみなみは、恐らく料理を苦手としている父親が作っておいてくれた巨大な三角おにぎりを食べるのであるが、何故か具が入っていない。量があれば十分だと思っているのである。一方、亡霊のニシノと共にニシノの葬儀に出席したみなみは、前日の夕食もその日の朝食もとっていなかったために、めまいで倒れてしまうが、みなみの世話をしたササキサユリは糖分不足だと言って飴を2つ与えるだけである。質が良ければ十分だと思っているのである。このような食事に関するトラブルはみなみが5歳の時に、ニシノにおごってもらったパフェを実はみなみが好きではなかったところから始まっているのである。
 3歳年上の会社の上司のマナミが大量の書類を倉庫に運ぶ手伝いをするために、左から右に階段を一緒に降りていき、やがて2人はデートをする。山田宏一の『映画 果てしなきベストテン』を書店で読んでいるニシノを見つけたマナミはニシノの腕を取って、書店を出ると右から左に階段を一緒に駆け下りていく。2人の関係が盛り上がる予感を観客に与えるのであるが、ニシノが出世してマナミと同じ地位になった際に、再び会社の階段で言葉を交わし、ニシノの部屋で最後の夜を過ごした後、何故か2人の関係が急速に冷めてしまい、マナミが御茶ノ水近辺にあるニシノのマンションの前で、右手を左のポケットに、左手を右のポケットに突っこんでニシノの幸せを祈る。
 このように全てはギクシャクしたままで進行していくのであるが、だからこそラストで母親の夏美の自分に対する愛とみなみの夏美に対する愛がジャストフィットし、流れるみなみの涙が感動をもたらすのである。


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北村弁護士の試合の価値観

2014-02-08 00:18:12 | Weblog

JBC、亀田ジム両者が訴訟へ…監禁、脅迫、暴行vs名誉毀損(デイリースポーツ) - goo ニュース
亀田興毅、和毅両選手らを提訴 「暴行を受けた」JBC男性職員(産経新聞) - goo ニュース
亀田ジム会長らの資格剥奪…国内で活動不可に(読売新聞) - goo ニュース
【BOX】亀田ジム資格剥奪へ!北村弁護士「裁判所で争う」(スポーツ報知) - goo ニュース

 プロボクシングIBF世界スーパーフライ級王者の亀田大毅が昨年12月の統一戦で

敗れたにもかかわらず王座を保持した問題で、亀田側代理人の北村晴男弁護士は、

試合前日のルール会議に参加した亀田陣営の3人が、JBC側と「敗れても王座保持」の

確認はしなかったと主張し、IBFが「王座は空位」と発表した事実を3人は試合終了まで

知ることがなく、訂正の機会がなかったとした。ところで北村晴男弁護士は学生時代は

高校球児で、甲子園を目指していたらしいが、例えば、地区の決勝戦において、負けても

甲子園に行けるという条件を提示されて本気になって試合をする気が起きるのか自身が

その立場になって考えたことがあるのだろうか


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『ラッシュ/プライドと友情』

2014-02-07 22:34:53 | goo映画レビュー

原題:『Rush』
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
出演:クリス・ヘムズワース/ダニエル・ブリュール/オリヴィア・ワイルド/ナタリー・ドーマー
2013年/アメリカ・イギリス

女性を巡る天才たちのその後について

 メカに詳しく「コンピューター」と呼ばれるほど冷静沈着にレース運びをするニキ・ラウダと、レース前には嘔吐をするなど決して度胸がいいというわけでもなく、マシンの細かい規定にこだわらないくらいに自由奔放で人気を得る天才型のジェームズ・ハントの物語は、皮肉なことに1976年のドイツのニュルブルクリンクにおいて、豪雨の中のレース開催を反対したラウダが瀕死の重傷を負い、決行に賛成したハントが無傷という皮肉な結果に終わり、シリーズ最終決戦の日本の富士スピードウェイにおいても豪雨であったためにラウダは途中リタイアしてしまう。
 このラウダとハントの対照的な性格は、もちろん生まれつきのものではあろうが、女性関係においても違いがうかがえる。ラウダはマルレーヌ・クナウスと結婚し、さらに慎重なレース運びを試み、結果的に1976年は1ポイント差でハントに逆転され、世界チャンピオンになれなかったが、ハントはスージー・ミラーと結婚したものの、やがて離婚してしまい、失うものが無くなったためにその年の世界チャンピオンになれた。しかしこの生き急いだハントはレーサーとしての活動期間を縮め、45年という早世につながったのではなかったのか。


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