MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『レプリカズ』

2019-06-29 00:58:12 | goo映画レビュー

原題:『Replicas』
監督:ジェフリー・ナックマノフ
脚本:チャド・セント・ジョン
撮影:チェコ・バレス
出演:キアヌ・リーブス/アリス・イヴ/トーマス・ミドルディッチ/ジョン・オーティス
2018年/アメリカ

誰が本物か分からなくなる瞬間について

 なかなか難解なストーリーなのでまずは整理してみたいと思う。主人公のウィリアム・フォスターは神経科学者で、プエルトリコにある医療系のバイオ企業「バイオニーヌ・コーポレーション」の特殊プロジェクトを任されており、死亡者の「心」をそのまま「アンドロイド」に転移させる実験を試みている。ここで問題となるのは何故「クローン」ではなく「アンドロイド」、つまりロボットに転移させるのかは倫理的な問題があるためであろう。しかし実験は上手くいかない。それは技術的な問題ではなく、蘇った死者が自分の身体がロボットであることに驚いて正気を保てないからである。
 ところがウィリアムは自らの運転による交通事故で妻のモナと、ソフィー、マット、ゾーイの3人を失うと、友人で元々クローンの専門家であるエド・ホイットルの助けを借りて、研究所から「クローンポッド」を盗むのだが、3体用のクローンポッドしかなかったためにゾーイを除いて、4人の元の身体は捨ててしまって、短期間で3人をクローンとして蘇らせることに成功するのである。
 ここまではストーリー展開として許容範囲としても良いと思うのだが、このクローン実験の成功例で失敗の原因がわかったらしいウィリアムは新しい死亡者のダメージが酷かったために代わりにウィリアム自身の「心」のデータを「アンドロイド」にプログラムしてしまうのである。そうなるとウィリアムは「本人」と「アンドロイド」の2人が存在することになるのであるが、2人の中ではラストまで「棲み分け」が出来ているようである。大抵このようなストーリー展開では「本物」争いが起こっても不思議ではないのだが、傍目から見てそこをどう理解していいのか分からないのである。


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