MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『オーヴァーロード』

2019-06-18 12:54:54 | goo映画レビュー

原題:『Overlord』
監督:ジュリアス・エイヴァリー
脚本:ビリー・レイ/マーク・L・スミス
撮影:ローリー・ローズ/ファビアン・ワグナー
出演:ジョヴァン・アデポ/ワイアット・ラッセル/マティルド・オリヴィエ/ジョン・マガロ
2018年/アメリカ

「Overlord」というよりも「Overload」的な作品について

 タイトルの「オーバーロード(Overlord)」作戦とは第二次世界大戦でドイツ軍に占領されたフランスを解放するための連合軍の一連のコードネームで、1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦(D-Day)が山場で、エドワード・ボイス二等兵やルイス・フォード伍長たちは飛行機でその激戦地に送られたのである。
 ここまでは大まかには史実なのであるが、本作の特異とする点はナチス・ドイツが強制収容所で行っていた一連の医学的な人体実験の中で、撃たれても刺されても死なない薬の開発も行っていたという設定で、それは必然的にゾンビの製造で、だから作品後半は戦争映画ではなくホラー映画と化すのである。
 もちろん発想は悪くはないのだが、全体的に重い感じで後味は決して良くはない。

 


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『スノー・ロワイヤル』

2019-06-18 00:56:37 | goo映画レビュー

原題:『Cold Pursuit』
監督:ハンス・ペテル・モランド
脚本:フランク・ボールドウィン
撮影:フィリップ・ウーゴート
出演:リーアム・ニーソン/ローラ・ダーン/エミー・ロッサム/トム・ベイトマン
2019年/アメリカ・イギリス

模範市民としての「振る舞い方」について

 タイトルの「Cold Pursuit」は主人公のネルソン・コックスマン(ネルス)が息子のカイルを殺した犯人を追う「陰鬱な追跡」という意味と同時にネルスの職業である除雪作業員の「寒い職業」も表していると思う。
 ネルスは真面目な仕事振りを評価されて「模範市民賞」を受賞したのであるが、カイルが麻薬密売組織に殺されたことから容疑者たちを次々と殺していき、その死体を金網で包んで川に流していく。善人が悪人に堕落したように見えるが、悪い奴らを抹殺していくのだから「模範市民」として善行を重ねていると言えなくもないところが皮肉めいているのである(因みにネルスが授賞式でのスピーチが苦手だと言った際に、妻のグレースはエイブラハム・リンカーンが行なった「ゲティスバーグ演説」の三分の一くらいでいいと言っている。「ゲティスバーグ演説」は約2分と短いものだったから、ここはギャグなのである)。
 このように脚本は趣味が悪いという意見もあるものの、なかなかよく出来ていると思うのだが、ネルスが麻薬密売組織のトップであるトレヴァー・カルコット、通称ヴァイキングを殺すために雇った通称「エスキモー」という黒人のヒットマン(彼がカニエ・ウェストを嫌っているところも時事ネタを絡めていて面白い)がネルスから契約金の三分の二を貰った後に、ヴァイキングの元に行って契約内容をバラすことでさらに報奨金を稼ごうということは常識で考えても無理があると思う。
 ネルスがヴァイキングの息子のライアンを誘拐するのだが、その息子自身が「ストックホルム症候群」を患っていると言っているところも笑えるし、結局本作はもう一度観なければ全体を把握しきれないかもしれない。


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