MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

2019-06-23 22:23:30 | goo映画レビュー

原題:『Godzilla: King of the Monsters』
監督:マイケル・ドハティ
脚本:マイケル・ドハティ/マックス・ボレンスタイン/ザック・シールズ
撮影:ローレンス・シャー
出演:カイル・チャンドラー/ヴェラ・ファーミガ/ミリー・ボビー・ブラウン/渡辺謙
2019年/アメリカ

薄れゆく『ゴジラ』の「主題」について

 そもそも初代『ゴジラ』(本多猪四郎監督 1954年)は水爆実験で目覚め、核爆弾に対する批判が多少なりともあったはずだが、本作においてゴジラを含む「モンスター」たちは原爆のみならず温暖化などの様々な環境破壊によって目覚めたと微妙に変化しており、さらにキングギドラなどは地球上の生物ではなく地球外生命体ということも明らかにされて、ますます「核」に対する問題提起は薄れていっているように思うのだが、ストーリー設定自体を変えることは悪いとは思わない。普通の怪獣映画と見なすのならば十分に楽しめるとは思う。
 しかしキングギドラやモスラの「造形」は雑過ぎるのではないだろうか。全体的に画面が暗いためにキャラクター造形にそれほど力を入れなかったのかもしれないが、中国の「龍」のイメージが強すぎて、オリジナルのデザインが損なわれていると思う。さらにラドンに至っては「ロダン(Rodan)」と名前自体が変わってしまっている。何の必然性があったのか?
 本作で重要な役割を果たしているはずの「オルカ(Orca)」と呼ばれる怪獣との交信装置の扱いも雑で、てっきり『未知との遭遇』(スティーヴン・スピルバーグ監督 1977年)のような展開を期待したが、モンスターたちの取っ組み合いが慌ただしくて、そのような余裕はなかった。


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