原題:『The First Purge』
監督:ジェラルド・マクムーリー
脚本:ジェームズ・デモナコ
撮影:アナスタス・N・ミチョス
出演:イラン・ノエル/レックス・スコット・デイヴィス/ジョイバン・ウェイド/ローレン・ヴェレス
2018年/アメリカ
「ライフル」を売る手っ取り早い方法について
本作は「パージシリーズ」の「前日譚」が描かれており、シリーズ未見の人も理解できる。そもそも「パージ」とは殺人を含む犯罪の合法化であり、とりあえずニューヨーク州のスタテン島内で実験を行なうアメリカの新党である「NFFA(新しいアメリカ建国の父たち)」が全米ライフル銃協会の支援だけで共和党と民主党を抑えて第一党になるというアイロニーが効いている。
12時間限定の実験の検証に立ち会ったメイ・アップデイル博士は、それまであまり伸びなかった参加率が急に上がった原因を、島外の「よそ者」によるものだと分かったのだが、すぐにチーフスタッフのサビアンに殺される。この実験は最初から「ライフル」を売るための「出来レース」だったのである。
そのことに気がついた島民で主人公のディミトリーは「よそ者」相手に『ダイ・ハード』(ジョン・マクティアナン監督 1988年)の主人公で ブルース・ウィリスが演じたジョン・マクレーン刑事ばりに白シャツ一枚で奮闘する姿もまたディミトリーが黒人であるが故に皮肉が込められているのである。