MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『轢き逃げ 最高の最悪な日』

2019-06-13 12:45:09 | goo映画レビュー

原題:『轢き逃げ 最高の最悪な日』
監督:水谷豊
脚本:水谷豊
撮影:会田正裕
出演:中山麻聖/石田法嗣/小林涼子/さな/毎熊克哉/水谷豊/檀ふみ/岸部一徳
2019年/日本

轢き逃げに繋がる人間関係について

 喫茶店「スマイル」の前で交通事故が起きたのは2018年5月10日で、被害者の時山望は27歳の若さで亡くなってしまう。
 加害者の宗方秀一は城島建設のエリート社員で副社長の令嬢である白河早苗と結婚目前ということもあって被害者を助けることもなく逃げてしまう。そこから宗方と同乗していた同僚の森田輝の苦悩が始まるのであるが、目撃者がいなかったにも関わらず意外と早く警察にマークされてしまった要因は現場近くの監視カメラの存在が大きい。
 その際に、警察が宗方に見せたパソコンで示した監視カメラの映像や、その後、被害者の父親である時山光央が娘の友人から見せてもらった動画の静止画など『欲望』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督 1967年)を意識したものかと思ったが、関係なかった。
 その後、時山が犯人の部屋をいとも簡単に見つけてしまうことに違和感はあるが、轢き逃げを巡って事件そのものだけでなく、普段の人間関係自体に問題を見出す観点が素晴らしく、水谷の前作『TAP -THE LAST SHOW』よりも良くできていると思う。


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『小さな恋のうた』

2019-06-13 00:34:01 | goo映画レビュー

原題:『小さな恋のうた』
監督:橋本光二郎
脚本:平田研也
撮影:高木風太
出演:佐野勇斗/森永悠希/山田杏奈/眞栄田郷敦/トミコクレア/金山一彦/清水美沙/世良公則
2019年/日本

決して小さくはない問題について

 沖縄出身のロックバンド「MONGOL800」の結成からデビューまでの経緯が描かれていると思いながら観ていて、その激動さに驚いていたのだが、本作はあくまでも「MONGOL800」の曲にインスパイアされたフィクションだった。
 真栄城亮多、池原航太郎、新里大輝、譜久村慎司の4人の高校生が組んでいた「BAD POSITION」というバンドは最初から楽曲も良くて演奏も素晴らしく、あっという間にメジャーデビューが決まるのであるが、そんな矢先、ギターの譜久村が交通事故で亡くなる(確か2017年の7月3日の出来事だったように思う)。譜久村を轢いた相手はそのまま逃走してしまったのだが、どうやら米軍基地内の人間だという噂がたち、基地の前ではデモが起こる。ベースの新里はバンドを去るのだが、譜久村の妹の舞がギターとして加わり、3ピースのバンドとして再出発することになる。
 本作の悲劇は、譜久村兄妹の実家の近くに住むアメリカ人のリサ・クルーソンと譜久村兄妹はとても仲が良かったのだが、譜久村を轢き殺した犯人はリサの父親で、そのことを知っているのはリサだけで、リサは真実を語らないままアメリカに帰国してしまうのである。しかしリサを責めることはできないだろうし、語ったことで友情を壊すことに意味があるとは思えない。なかなか難しい問題に挑んでいると思う。舞を演じた山田杏奈の「成長具合」が素晴らしい。


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