原題:『Avengers: Endgame』
監督:アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
脚本:クリストファー・マルクス/スティーヴン・マクフィーリー
撮影:トレント・オパロック
出演:ロバート・ダウニー・Jr/クリス・エヴァンス/マーク・ラファロ/クリス・ヘムズワース
2019年/アメリカ
「ミスター・ファンタジー」について
およそ3時間の前半はそれぞれのアヴェンジャーズの個々の過去を顧みるシーンで、後半はアヴェンジャーズ総動員でタイタン星人のサノス軍たちとの死闘が描かれるバランスは悪くない。よくここまで手際よくまとめたものだと感心してしまう。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(ロバート・ゼメキス監督 1985年)を引き合いに出してタイムトラベルの不可能性を論っておきながら、新しい方法論を見つけたと言って実行してしまうバカバカしさも面白い。
しかし一つ不満だったのは『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(マイケル・ドハティ監督 2019年)の渡辺謙の扱いと比較するならば本作で東京のヤクザの組長のアキヒコを演じた真田広之の扱いは、日本の原作ではないためなのか酷いもので大して見せ場がないままクリント・バートンに倒されてしまっているのだが、さらに問題なのは本作で描かれている東京は実際の東京ではなく「ロールプレイングゲーム」で描かれている東京であろう。
オープニングでトラフィック(Traffic)の「ディア・ミスター・ファンタジー」が流れた時には鳥肌が立った。まさにアヴェンジャーズこそ「ミスター」の称号が似合う「ファンタジー」だからである。以下、和訳。
「Dear Mr. Fantasy」 Traffic 日本語訳
親愛なるファンタジー氏
僕たちに一曲弾いてくれないか
僕たち全員を幸福で満たす何かを
何でも良いんだ
この陰鬱さから僕たちを連れ出して欲しいんだ
歌を歌ったりギターを弾いたりさっさとやってくれよ
君は僕たち全員を笑わせることができるけれども
君は君自身が涙にまみれることをしている
もしもそれが君の率直な思いであったのならば
悲しむことはないよ
僕たちは君(=fantasy)を長い間忘れていたのだから
すっかり大人になって空想しなくなった「僕たち」が空想することを思いだし、それに感激した「ファンタジー氏」が泣きながら歌ったりギターを弾いたりしている様子が的確に描かれていると思う。
Steve Winwood - Dear Mr. Fantasy (Live on SoundStage - OFFICIAL)
Steve Winwood - Dear Mr. Fantasy (Live at PBS Soundstage 2005)